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2012年09月18日

10分でわかる「平家物語」巻八「山門御幸その2」(安徳天皇に代わって皇位につくべく第四皇子が選ばれる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


高倉院の皇子は、主上の外三所ましましき。二宮をば儲君にし奉らむとて、平家いざなひ参らせて、西国へ落ち給ひぬ。三四は都にましましけり。同じき八月五日、法皇この宮たちをむかへよせ参らせ給ひて、まづ三の宮の五歳にならせ給ふを、「是へ是へ」と仰ければ、法皇を見参らッさせ給ひて、大にむつからせ給ふあひだ、「とうとう」とて出し参らッさせ給ひぬ。

其後、四の宮の四歳にならせ給ふを、「是へ」と仰ければ、少しもはばからせ給はず、やがて法皇の御ひざの上に参らせ給ひて、よにもなつかしげにてぞましましける。法皇御涙をはらはらとながさせ給ひて、「げにもすぞろならむものは、かやうの老法師を見て、なにとてかなつかしげには思ふべき。是ぞ我まことの孫にてましましける。故院の、をさなをひに、少しもたがはせ給はぬ物かな。かかる忘れ形見を今まで見ざりける事よ」とて、御涙せきあへさせ給はず。浄土寺の二位殿、その時はいまだ丹後殿とて、御前に候はせ給ふが、「さて御ゆづりは、此宮にてこそわたらせおはしましさぶらはめ」と申させ給へば、法皇「子細にや」とぞ仰せける。内々御占ありしにも、「四の宮位につかせ給ひては、百王まで日本国の御ぬしたるべし」とぞかんがへ申しける。

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〈現代語訳〉


高倉院の皇子は安徳天皇以外にお三方いらっしゃった。第二皇子を皇太子にし申し上げようと、平家がお連れ申し上げて西国に落ちなさった。第三皇子、第四皇子は都にいらっしゃった。同じ寿永二年八月五日に、後白河法皇がこの宮たちを、迎え寄せ申し上げなさって、まず第三皇子で五歳におなりになる宮を、「こちらへこちらへ」と呼びなさったところ、第三皇子は法皇を見申し上げて、大いにむずかりなさったので、「はやくはやく、もうお帰り」と返し申し上げなさった。


そのあと、第四皇子で四歳になりなさる宮を「こちらへ」と呼びなさったところ、第四皇子は少しも遠慮なさらず、すぐに法皇の膝の上に参りなさって、まことに親しみ深くいらっしゃった。法皇は涙をはらはらとお流しになって、「本当に血のつながりのない子が、私のような老いた法師を見て、どうして親しく思うだろうか。いや思わない。この子こそ私の本当の孫でいらっしゃるよ。亡くなった高倉院の幼少の頃と少しも違いなさらないことだなあ。このような忘れ形見と今まで会わなかったことだよ。」と法皇は涙をせきとめることがおできにならない。浄土寺の二位殿は当時まだ丹後殿といって、法皇の側にお仕えもうしあげなさっていたが、「それでは皇位を譲られるのは、この宮でいらっしゃるのでしょう。」と申し上げなさると、法皇は「子細に及ばない、当然だ」とおっしゃった。内々で占いなさったが、「第四皇子が皇位につきなさったら、後の百代までつづく日本国の主となるだろう」と判断し申し上げた。


posted by manabiyah at 12:58| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする