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2012年09月18日

10分でわかる「平家物語」巻八「緒環」(緒方三郎維義が九州に着いた平家を討つよう命じられる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


さる程に九月十日あまりになりにけり。荻の葉むけの夕嵐、ひとりまろねの床の上、片敷く袖もしほれつつ、ふけゆく秋のあはれさは、いづくもとはいひながら、旅の空こそ忍がたけれ。九月十三夜は名をえたる月なれども、其夜は都を思ひ出づる涙に、我から曇りてさやかならず。九重の雲の上、久方の月に思ひをのべしたぐひも、今の様におぼえて、

薩摩守忠度

 月を見しこぞのこよひの友のみや都にわれを思ひいづらむ

修理大夫経盛

 恋しとよこぞのこよひの夜もすがらちぎりし人の思ひ出られて

皇后宮亮経正

 わけてこし野辺の露ともきえずして思はぬ里の月を見るかな

豊後国は刑部卿三位頼資卿の国なりけり。子息頼経朝臣を代官におかれたり。京より頼経のもとへ、「平家は神明にもはなたれ奉り、君にも捨られ参らせて、帝都をいでて、浪の上にただよふ落ち人となれり。しかるを、鎮西の者どもがうけとッて、もてなすなるこそ奇怪なれ、当国においては従ふべからず。一味同心して追出すべきよし、のたまひつかはされたりければ、頼経朝臣是を当国の住人、緒方三郎維義に下知す。

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「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


そのうちに九月十日過ぎになった。荻の葉を吹きなびかせる夕方の強風、ひとりで帯も解かずに寝る床(とこ)の上に、片方だけ敷いた自分の袖は涙に濡れて、更けゆく秋の切なさは、どこでも同じと言いながらも、旅の空ではいっそう忍びがたい。九月十三日夜の月は有名な月であるが、その夜は都を思い出して流す涙で、自分の方が曇ってはっきりと見えない。宮中の雲の上で、月に思いをこめて歌ったことも、今のように思われて、

平忠度の歌、
「ともに月を見た 去年の今夜の 友だけは、都で私を 思い出しているだろう」

平経盛の歌、
「恋しいことだ 去年の今夜 一晩中 契り合った人のことが 思い出されて」

平経正の歌、
「踏み分けて 来た野辺の露のように 消えることなく 思いがけない里で 月を見るのだなあ」

豊後国(ぶんごのくに)は刑部卿(ぎょうぶきょう)三位(ざんみ)頼資卿(よりすけのきょう)の国であった。頼資は子息である頼経朝臣(よりつねのあそん)を代官として置かれた。都からその頼経のもとへ「平家は神から見放され申し上げて、帝にも捨てられ申し上げて、都を出て、海の上を漂う落ち武者となった。それなのに、九州の者が迎えてもてなすというのは不都合なことだ。豊後の国においては平家に従ってはならない。心を合わせ結束して追い出すべきだ。」との旨をおっしゃってきたので、頼経朝臣はこれを、豊後の住人である緒方三郎(おかたのさぶろう)維義(これよし)に命じた。

posted by manabiyah at 13:03| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする