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2012年09月29日

10分でわかる「平家物語」巻八「水島合戦」(勢力を盛り返した平家が、水島の戦いに勝利)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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同じき閏十月一日、水島が渡に小船一艘いできたり。海人舟、釣舟かと見る程に、さはなくして、平家方より牒の使ひ舟なりけり。是を見て源氏の舟五百余艘ほしあげたるを、をめきさけんでおろしけり。平家は千余艘でおしよせたり。平家の方の大手の大将軍には新中納言知盛卿、搦手の大将軍には能登守教経なり。能登殿宣ひけるは、「いかに者共、いくさをばゆるに仕るぞ。北国のやつばらにいけどられむをば、心うしとは思はずや。御方の舟をばくめや」とて、千余艘がとも綱・へづなをくみ合はせ、中にむやひを入れ、あゆみの板をひきわたしひきわたしわたいたれば、舟のうへは平々たり。

源平両方時つくり、矢合はせして、互に舟どもおしあはせてせめたたかふ。遠きをば弓で射、近きをば、太刀できり、熊手にかけてとるもあり、とらるるもあり、引組んで海にいるもあり、さしちがへて死ぬるもあり。思ひ思ひ心々に勝負をす。源氏の方の侍大将海野の弥平四郎うたれにけり。是を見て大将軍矢田の判官代義清主従七人小舟に乗ッて、真前に進んで戦ふ程に、いかがしたりけむ、船ふみ沈めて皆死にぬ。平家は鞍置き馬を舟のうちにたてられたりければ、舟差しよせ、馬どもひきおろし、うちのりうちのりをめいてかけければ、源氏の勢、大将軍はうたれぬ、われさきにとぞ落ち行きける。平家は水島の軍に勝ッてこそ、会稽の恥をば雪めけれ。


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〈現代語訳〉


同じ年のうるうの10月1日に、水島の海峡に小舟が一艘現れた。漁師の舟か、釣り舟かと見ているうちに、そうではなくて、平家側からの書状を持った舟であったよ。これをみて源氏は舟を500艘あまり引き上げて干してあったのを、わめき叫んで海に下ろして浮かべた。平家側の正面の大将軍は新中納言、平知盛。背後から攻める搦め手の大将軍は能登のかみ、平教経である。教経がおっしゃったことには「皆のものよ、なんとも戦いをゆるやかにいたすものだよ。北国の者たちに、生け捕りにされたら、情けないとは思わないのか。味方の舟を組み合わせろ。」と、千艘あまりの舟が、船後ろの綱とへさきの綱を結びあわせて、間につなぎとめるための綱を入れて、舟から舟へと歩けるように板を引き渡し引き渡ししたので、舟から舟へと歩けるように板を引き渡し引き渡ししたので、舟の上は平坦になった。


源氏も平家もともに、戦いはじめのときの声をあげて、鏑矢をうって、互に舟を合わせて攻め、戦う。遠くの者を弓で打って、近くの者を太刀で切って、熊手に引っ掛けて捕らえる者も、捕らえられる者もいる。組みついて海に入る者も、相手と刺し違えて死ぬものもいる。思い思いにそれぞれが勝負をする。源氏の方の侍大将(さぶらいだいしょう)、海野(うんの)の弥平四郎(やへいしろう)が討たれてしまった。この様子を見て、矢田の判官代(ほうがんだい)義清(よしきよ)の主従七人が小舟に乗って、まっさきに進んで戦ううちに、どうしたことだろうか、船が転覆して皆、死んでしまった。平家側は、鞍を置いた馬を船の中に用意していたので、岸に船を寄せて、馬を船から下ろして、おのおの馬に乗り、わめき声をあげて駆けていったので、源氏側は、大将軍が討たれてしまったこともあり、みな我れ先にと逃げていった。平家は水島の戦いに勝って、会稽の恥を克服した。

posted by manabiyah at 16:49| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする