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2012年10月24日

10分でわかる「平家物語」巻八「鼓判官」(武士たちの無法行為とりしまりの命令を無視した義仲)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


凡そ京中には源氏みちみちて、在々所々にいりどりおほし。賀茂・八幡の御領ともいはず、青田を苅りてま草にす。人の倉をうちあけて物をとり、持ッてとほる物をうばひとり、衣裳をはぎとる。「平家の都におはせし時は、六波羅殿とて、ただおほかた、おそろしかりしばかりなり。衣裳をはぐまではなかりしものを。平家に源氏かへおとりしたり」とぞ人申しける。木曾の左馬頭のもとへ、法皇より御使あり。「狼藉しづめよ」と仰せ下さる。御使は壱岐守知親が子に、壱岐判官知康といふ者なり。天下にすぐれたる皷の上手でありければ、時の人、皷判官とぞ申しける。木曾対面して、先づ御返事をば申さで、「抑わとのを皷判官といふは、よろづの人にうたれたうたか、はられたうたか」とぞ問うたりける。


知康、返事におよばず、院御所に帰り参ッて、「義仲をこの者で候ふ。只今朝敵になり候ひなんず。いそぎ追討せさせ給へ」と申しければ、法皇さらばしかるべき武士にも仰せ付られずして、山の座主・寺の長吏に仰せられて、山・三井寺の悪僧どもをめされけり。公卿殿上人のめされける勢と申すは、向礫・印地、いふかひなき辻冠者原・乞食法師どもなりけり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


おしなべて都中には源氏の軍勢があふれていて、あちこちで、他人の土地や家に入って略奪することが多かった。賀茂神社や石清水八幡宮の所領でもおかまいなく、青田を刈って馬の餌にする。人の蔵を開けて物品を奪い、行き来する人の持ち物を奪い取って、衣服をはぎとった。「平家が都にいらっしゃった時は、六波羅殿といって、全体として何となく恐ろしいという雰囲気だけであった。衣服をはぎ取ることまでは無かったのに。平家から源氏に変わってかえって悪くなった。」と人が申した。義仲のもとに後白河法皇からお使いがあった。「乱暴な振舞をやめさせろ」と命令を下された。使いは壱岐守(いきのかみ)知親(ともちか)の子で、壱岐判官(いきほうがん)知康(ともやす)というものである。知康は世に優れた鼓の名人であったので、当時の人は知康を鼓判官と呼び申し上げた。義仲は「そもそも、あなたを鼓判官というのは、多くの人に打たれたのか?張られたのか?」と問いかけた。


知康は返事もできないで、院の御所に帰り参って言うことには、「義仲は愚か者でございます。すぐに朝廷の敵になりますでしょう。急いで追討なさって下さい。」と申したので、法皇はそれならそれに相応しいはずの武士に仰せつけることもしないで、比叡山の座主や、園城寺(おんじょうじ)の長吏(ちょうり)に命令なさって、延暦寺や三井寺の悪僧たちをお呼びになった。公卿や殿上人などの貴族達が集めた軍勢と申し上げるのは、むかえつぶて、いんじと呼ばれる石合戦を得意とした者達や、どうしようもない浮浪の若者や、下賎の僧侶たちであった。


posted by manabiyah at 11:19| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする