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2012年10月31日

10分でわかる「平家物語」巻八「鼓判官」その2(義仲が法皇の御所である法住寺殿を攻める)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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さる程に、搦手にさしつかはしたる樋口次郎兼光、新熊野の方より時の声をぞあはせたる。鏑のなかに火をいれて、法住寺殿の御所に射たてたりければ、をりふし風は、はげしし、猛火天にもえあがッて、炎は虚空にひまもなし。いくさの行事知康は、人よりさきに落ちにけり。行事がおつるうへは、二万余人の官軍ども、我さきにとぞ落ちゆきける。あまりにあわてさわいで、弓とる者は矢を知らず、矢をとる者は弓を知らず、或は長刀さかさまについて、我足つきつらぬく者もあり、或は弓のはず物にかけて、えはづさで捨てにぐる者もあり。七条がすゑは摂津国源氏のかためたりけるが、七条を西へ落ちて行く。


かねて軍以前より、「落人のあらむずるをば、用意してうちころせ」と、御所より披露せられたりければ、在地の者共、屋ねいに楯をつき、おそへの石をとりあつめて、待ち懸たるところに、摂津国源氏の落ちけるを、「あはや落人よ」とて、石を拾ひかけ、さんざんに打ちければ、「これは院がたぞ、あやまち仕るな」といへども、「さないはせそ。院宣であるに、ただ打ちころせ打ちころせ」とて打つ間、或は馬をすてて、はふはふにぐる者もあり、或はうちころさるるもありけり。八条がすゑは山僧かためたりけるが、恥あるものはうち死し、つれなきものは落ちぞゆく。

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「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


そのうちに、後ろ側からの攻めにつかわした樋口次郎兼光が、新熊野神社の方からときの声を上げた。鏑矢の中に火をいれて、法住寺殿の御所にむかって打ったので、ちょうど風が激しく、猛火が天に燃え上がって、炎が空一面を隙間無くおおった。いくさの指揮をとった鼓判官知康は、人より先に落ち延びた。指揮官が逃げたからには、二万人の法皇側の軍勢はみな我れ先と落ちのびていった。あまりに慌てて騒いで弓を持つものは矢を持たず、矢を持つものは弓を持たず、ある者は長刀を逆さに突いて、自分の足を指し貫くものもあり、ある者は弓の弦をあける部分に物をひっかけて、外せないまま捨てて逃げるものもいる。七条大路の外れは摂津の国の源氏が固めていたのだが、摂津源氏は七条を西へ逃げていった。


あらかじめいくさの前から、「逃げるものがいるだろうから、用意をして打ち殺せ。」と、法皇側からお触れが出されていたので、土地の者達が、屋根に楯をたてて、ふき板をおさえる石を集めて待ち構えたところに、摂津の源氏たちが逃げて来たので、「ああ、落人だ」と人々が石を拾って投げかけて、散々に打ったので、「われわれは法皇側のものだ、お間違えいたすな。」といったが、「そのようなことは言わせるな、院の命令であるから、ただ打ち殺せ打ち殺せ。」といって打つので、あるものは馬をすててやっとのことで逃げる者もあり、あるものは打ち殺される者もいた。八条通りの外れは比叡山の僧兵が守っていたが、恥を知るものはそこで討ち死にし、恥知らずのものは落ちのびていった。

posted by manabiyah at 16:15| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする