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2012年11月15日

10分でわかる「平家物語」巻八「法住寺合戦」その2(天皇や法皇になるなどと言い出した義仲と、頼朝の動き)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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木曾、家子郎等召し集めて評定す。「抑義仲、一天の君にむかひ奉りて軍には勝ちぬ。主上にやならまし、法皇にやならまし。主上にならうど思へども、童にならむもしかるべからず。法皇にならうど思へども、法師にならむもをかしかるべし。よしよしさらば関白にならう」ど申せば、手かきに具せられたる大夫房覚明申しけるは、「関白は大織冠の御末、藤原氏こそならせ給へ。殿は源氏でわたらせ給ふに、それこそ叶ひ候ふまじけれ」。「其上は力およばず」とて、院の御厩の別当におしなッて、丹後国をぞ知行しける。院の御出家あれば法皇と申し、主上のいまだ御元服もなき程は、御童形にてわたらせ給ふをしらざりけるこそうたてけれ。


前関白松殿の姫君とり奉ッて、軈て松殿の聟にをおしなる。同十一月廿三日、三条中納言朝方卿をはじめとして、卿相雲客四十九人が官職をとどめておッこめ奉る。平家の時は四十三人をこそとどめたりしに、是は四十九人なれば、平家の悪行には超過せり。さる程に、木曾が狼藉しづめんとて、鎌倉の前兵衛佐頼朝、舎弟蒲の冠者範頼・九郎冠者義経をさしのぼせられけるが、既に法住寺殿焼きはらひ、院うちとり奉て天下くらやみになッたるよし聞えしかば、左右なうのぼッて軍すべき様もなし。

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〈現代語訳〉


義仲は家の子や郎党たちを呼び集めて評議をした。「そもそも私義仲は、天下の主である法皇に立ち向かい申し上げて、いくさに勝った。天皇になろうか、法皇になろうか。天皇になろうと思うが、子どもの姿になるのはよくない。法皇になろうかと思うが、法師の姿になるのもおかしいだろう。よし、それなら関白になろう。」と申すので、文章を書く係としてお連れになっていた大夫房覚明が申したことには、「関白にはかつて大織冠(たいしょくかん)に任じられた藤原鎌足様の子孫である藤原氏がなりなさるものです。殿は源氏でいらっしゃるので、それはできないことでございましょう。」「それならば仕方ない」と言って、院のうまやの管理をする役人の長官に無理矢理、就任して、丹後の国を所領とした。院が出家しなさると法皇と申し上げ、天皇がまだ成人されていない間は、童の姿でいらっしゃるということを、知らなかったのは情けない。


前の関白である藤原基房様の姫君をめとり申し上げて、そのまま無理に基房様のむこになる。同じ年の11月23日、三条の中納言藤原朝方(ともかた)卿を始めとして、大臣や公卿や殿上人49人の官職を停止して押し込め申し上げる。平家の時代には43人の官職を停止したが、義仲の場合は49人だったので、平家の悪行を越えていた。そのうちに、義仲の無法な行為をしずめようと、鎌倉にいる前の兵衛佐である源頼朝は、源範頼(のりより)や源義経を都へのぼらせたが、すでに義仲が法住寺を焼き払い、法皇と帝をとらえもうしあげて、天下が暗闇のようになっているとの旨、うさわになっていたので、迷うことなく上京して戦うというわけにいかない様子だった。

posted by manabiyah at 08:47| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする