「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2013年01月01日

10分でわかる「平家物語」巻九「木曾最期その2」(女武者巴の活躍ぶり)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)



木曾三百余騎、六千余騎が中をたてさま・よこさま・蜘手・十文字にかけわッて、うしろへつッといでたれば、五十騎ばかりになりにけり。そこをやぶッてゆくほどに、土肥の二郎実平二千余騎でささへたり。其をもやぶッてゆくほどに、あそこでは四五百騎、ここでは二三百騎、百四五十騎、百騎ばかりが中をかけわりかけわりゆくほどに、主従五騎にぞなりにける。五騎が内まで巴は討たれざりけり。



木曾殿「おのれはとうとう、女なれば、いづちへもゆけ。我は打死にせんと思ふなり。もし人手にかからば自害をせんずれば、木曾殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなどいはれん事もしかるべからず」とのたまひけれども、なほおちもゆかざりけるが、あまりにいはれ奉ッて、「あッぱれ、よからうかたきがな。最後のいくさして見せ奉らん」とて、ひかへたるところに、武蔵国に、きこえたる大ぢから、御田の八郎師重、卅騎ばかりで出できたり。巴その中へかけ入り、御田の八郎におしならべて、むずととッて引きおとし、わが乗ッたる鞍の前輪に押しつけて、ちッともはたらかさず、頸ねぢきッてすててンげり。其後物具ぬぎすて、東国の方へ落ちぞゆく。



平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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【アイテム紹介】「平家物語」には数多くの異本(バージョン違い)がありますが、新潮社からは「百二十句本」が出版されています。例えば、この「木曾最期」の義仲が巴に対して言うセリフに「百二十句本」では「義仲が後世をもとぶらひなんや」という表現が見られます。そうすると義仲が巴を戦場から遠ざける理由は単に「最後のいくさに女を連れていたと嘲笑されたくない」というだけでなく「自分の死後の弔いをして欲しいから」ということになるわけです。このように同じ場面を異本で読み比べることで、新たな発見を得ることができるのも「平家物語」の面白いところです。

書名or表紙画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
平家物語(百二十句本) 上

平家物語(百二十句本) 中

平家物語(百二十句本) 下

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〈現代語訳〉


義仲軍の300騎は、6000騎の敵の中を、縦横無尽に、そして八方に、かけやぶって、後方へとつっと出たところ、50騎ほどになってしまった。そこを破ってすすんでいくと、土肥の二郎実平が2000騎で構えていた。義仲がそれをも破っていくうちに、あちらで四、五百騎、ここでは二、三百騎、次に百四五十騎、百騎ほどの中をかけやぶりかけやぶりするうちに、主従合わせて5騎になってしまった。5騎になるまで巴は討たれなかった。

義仲は言った。「おまえは早く早く、女であるのだから、どこへでもいけ。私は討ち死にしようと思うのだ。もし人手にかかるようならば自害をするつもりなので、木曾殿が最後のいくさに女をお連れになっていたなどと言われるのも具合が悪い。」とおっしゃったが、巴は依然として逃げようとはしなかったが、あまりにも強く言われ申し上げたので、「ああ、ちょうどいい敵がいればなあ。最後のいくさをして見せ申し上げよう。」と巴が控えているところに、武蔵の国で評判の力の持ち主である御田の八郎師重が30騎ほどで現れた。巴はその軍勢の中にかけいって、御田八郎に馬を並べて、御田をむんずと取って馬から引き落として、自分の乗った馬のくらの前の枠におしつけて、御田を少しも動かさず、首をねじ切って捨ててしまった。その後、巴は鎧や甲を脱ぎ捨てて、東国の方へと落ちのびていった。

posted by manabiyah at 17:45| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする