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2013年03月06日

10分でわかる「平家物語」巻九「一二之懸」その2(熊谷・平山の勢いに圧倒され、思うままに戦いを進められない平家)



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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


熊谷親子は、なかをわられじとたちならんで、太刀をひたいにあて、うしろへひとひきもひかず、いよいよまへへぞすすみける。越中次郎兵衛叶はじとや思ひけん、とッてかへす。熊谷これをみて、「いかに、あれは越中次郎兵衛とこそみれ。敵にはどこをきらふぞ。直実に押しならべてくめやくめ」といひけれども、「さもさうず」とてひッかへす。悪七兵衛これをみて、「きたない殿原のふるまひやうかな」とて、すでにくまんとかけ出でけるを、鎧の袖をひかへて「君の御大事是にかぎるまじ。あるべうもなし」と制せられてくまざりけり。其後熊谷は乗るがへに乗ッてをめいてかく。平山も熊谷親子がたたかふまぎれに、馬のいきやすめて、これも又つづいたり。


平家の方には馬に乗ッたる武者はすくなし、矢倉の上の兵ども、矢先をそろへて、雨のふるやうに射けれども、敵はすくなし、御方はおほし、勢にまぎれて矢にもあたらず、「ただ押しならべてくめやくめ」と下知しけれども、平家の馬はのる事はしげく、飼ふ事はまれなり、舟にはひさしう立てたり、よりきッたる様なりけり。熊谷・平山が馬は、飼ひに飼うたる大の馬どもなり、ひとあてあてば、みな蹴倒されぬべきあひだ、押しならべてくむ武者一騎もなかりけり。

平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


熊谷親子は、親子二人の間を隔てられまいと並んで、太刀をひたいにあてて、後ろへは一歩も弾かずに、ますます前へと進んだ。越中次郎兵衛は叶うまいと思ったのだろうか、引き返した。熊谷はこれを見て、「やや、そこにいるのは越中次郎兵衛だと見える。敵としてどこが嫌なのか、私直実と馬を並べて組み合え組み合え。」と言ったが、越中次郎兵衛(は「そうはいかない」と逃げ帰る。悪七兵衛は、越中次郎兵衛の振舞を見て、「汚いあなたの振舞ようであるよ」と悪七兵衛が、熊谷と組み合おうとかけ出て行ったのを、越中次郎兵衛は悪七兵衛の鎧の袖をとらえて、「主君能登殿の大事は、これに限らないだろう、戦うべきではない。」と制せられて組み合わなかった。その後、熊谷次郎は予備の馬に乗り換えて雄叫びを上げて駆けていく。平山も熊谷親子が戦うのにまぎれて、馬の呼吸を整えて、また熊谷に続いた。


平家側では馬に乗っている武者は少ない。やぐらの上で武者たちが、矢先をそろえて、雨が降るように矢を放ったが、敵が少なく、味方の軍勢が多く、味方の軍勢にはばまれて矢が熊谷たちに当たらない。「ただ馬を並べてくみあえ!」と指示をしたが、平家側の馬は乗ることが多く、餌を与えるのが稀であり、船に長く立っていて、疲れ切った様子であった。熊谷と平山の馬は、餌をしっかりと与えられた大きな馬である。ムチをひとあてすれば、みなけたおされてしまうので、並んで組もうとする武者は一騎もなかった。

posted by manabiyah at 16:47| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする