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2013年04月07日

10分でわかる「平家物語」巻九「坂落」その2(坂落としの奇襲攻撃を受けて、逃げ惑う平家)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


おとしもはてねば、時をどッとつくる。三千余騎が声なれど、山びこにこたへて十万余騎とぞきこえける。村上の判官代康国が手より火をいだし、平家の屋形、かり屋をみな焼き払ふ。をりふし風は、はげしし、黒煙おしかくれば、平氏の軍兵ども、あまりにあわて騒いで、「もしやたすかる」と、前の海へぞおほく馳せいりける。汀にはまうけ舟いくらもありけれども、われさきにのらうど、舟一艘には物具したる者どもが四五百人ばかりこみ乗らうに、なじかはよかるべき。汀よりわづかに三町ばかりおしいだいて、目の前に大ぶね三艘しづみにけり。


其後は「よき人をば乗すとも、雑人共をば乗すべからず」とて、太刀長刀でながせけり。かくする事とは知りながら、乗せじとする舟にとりつき、つかみつき、或ひは腕うちきられ、或ひは肘うち落されて、一の谷の汀にあけになッてぞ並み臥したる。能登守教経は、度々のいくさに一度も不覚せぬ人の、今度はいかが思はれけん、うす黒といふ馬にのり、西をさいてぞ落ち給ふ。播磨国明石浦より舟に乗ッて、讃岐の八島へ渡り給ひぬ。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」


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〈現代語訳〉


義経軍は下り切らないうちに、ときの声をどっとあげた。三千騎あまりの声であるが、やまびこが響いて十万騎のように聞こえた。村上の判官代である康国はその手から火を放って、平家の仮に構えた家や小屋を焼き払った。ちょうど風は激しく、黒い煙がおしかかるので、平家の武士たちはあまりにも慌て騒いで、「もしかして助かるか」と前の海へと多くかけて入っていった。水際には、撤退用の船がいくつもあったが、われ先に乗ろうとして、船一艘に武具を身につけた武士達が四五百人こみあって乗ろうとするので、どうして良いだろうか。いや良くない。水際からわずかに3町ほどの距離だけ船を押し出すと、目の前で大きな船が三艘沈んでしまった。


その後は、身分の高い者は乗せるとしても、身分の低い雑人などは乗せてはいけないと、太刀やなぎなたで斬りつけておい払った。こういうものだとは知りながらも、雑人たちは乗せまいとするその船にとりついて、つかみついて、ある者は腕を切られ、ある者は肘を切り落とされて、一の谷の水際で、赤く血に染まって並び臥した。能登のかみである平教経(たいらののりつね)は、これまでの戦いで一度も敗れたことがない者だったが、うす黒という馬に乗って、西を目指して落ち延びていきなさった。播磨の国の明石の浦から船にのって、讃岐のやしまへと渡りなさった。





posted by manabiyah at 21:35| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする