「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2013年05月25日

10分でわかる「平家物語」巻十「首渡」(一の谷の戦いで討たれた平家の者たちの首が都に入る)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


同十三日、大夫判官仲頼、六条河原に出むかッて、頸共うけとる。東洞院の大路を北へわたして獄門の木にかけらるべきよし、蒲冠者範頼・九郎冠者義経奏聞す。法皇、此条いかがあるべからむとおぼしめし、わづらひて、太政大臣・左右の大臣・内大臣・堀河大納言忠親卿に仰せあはせらる。

五人の公卿申されけるは、「昔より卿相の位にのぼる者の頸、大路をわたさるる事先例なし。就中此輩は、先帝の御時、戚里の臣として久しく朝家につかうまつる。範頼・義経が申状、あながち御許容あるべからず」と、おのおの一同に申されければ、渡さるまじきにて有りけるを、範頼・義経かさねて奏聞しけるは、「保元の昔を思へば、祖父為義があた、平治のいにしへを案ずれば、父義朝がかたきなり。君の御憤をやすめ奉り、父祖の恥をきよめんがために、命を捨て朝敵をほろぼす。今度平氏の頸共大路をわたされずは、自今以後なんのいさみあッてか凶賊をしりぞけんや」と、両人しきりにうたッへ申す間、法皇力およばせ給はで、終にわたされけり。

見る人いくらといふ数をしらず。帝闕に袖をつらねしいにしへは、おぢおそるる輩おほかりき。巷に首をわたさるる今は、あはれみかなしまずといふ事なし。

平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」


------------------------------------------------------------------------------------
【アイテム紹介】「平家物語」を覚一本の原典そのままに、各界の第一人者による朗読・演技・演奏で見て聴かせようという、前代未聞のDVDシリーズです。

タイトルor画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
DVD 原典 平家物語 巻第十[4105-10]

首渡──渡辺梓
内裏女房──広瀬彩
海道下──今藤長十郎・他
千手前──尾上青楓・尾上紫・金子あい
横笛──島本須美
維盛出家・維盛入水──近藤正臣
------------------------------------------------------------------------------------


〈現代語訳〉


同じく寿永3年2月13日。大夫判官仲頼が六条河原に出むいて、平氏の者達の首を受け取った。「東洞院の大通りを北へと運んで、獄門の木にかけなさるべきだ」との旨を、蒲冠者源範頼や、九郎冠者源義経が後白河法皇に奏上する。法皇は「このことはどうあるべきか」とお思い悩みなさって、太政大臣や左大臣、右大臣、さらに内大臣や堀河の大納言忠親卿と相談なさった。


これら五人の公卿が法皇に申し上げたことには「昔から公卿や大臣の位にのぼった者の首が、大通りを引き回された先例はない。特にこの平家の者達は、安徳天皇の時代に外戚として長く朝廷にお仕え申し上げている。範頼や、義経が申すことを、決してお許しになってはいけない。」と、異口同音に申されたので、引き回しないということになったが、範頼・義経がさらに法皇に申し上げたことには、「平家は保元の乱の昔を思えば、祖父源為義のかたき、平治の乱の昔を思えば父源義朝の敵である。法皇さまのお怒りをしずめ申し上げて、父祖の恥をすすぐのために、命を捨てて朝敵を滅ぼすのだ。このたび平家のものどもの首を、大通りで引き回さないなら、これ以降、なんの励みがあって凶族を討つだろうか。」と二人ともがしきりに訴え申し上げるので、法皇は仕方なしに、とうとう平家の者たちの首を引き回した。


それを見る人がどれほどか数が知れない。平家一門が朝廷に礼服の袖をならべて参内した頃は、その権勢におびえ恐れるものが多かった。都で首をさらされている今は、あわれんで悲しまない者はいない。



posted by manabiyah at 22:16| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする