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2013年06月21日

10分でわかる「平家物語」巻十「戒文」(重衡が、浄土宗の開祖法然と語り合う)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


倩一生の化行を思ふに、罪業は須弥よりも高く、善根は微塵ばかりも蓄へなし。かくてむなしく命終りなば、火血刀の苦果、あへて疑なし。願はくは、上人慈悲をおこしあはれみをたれて、かかる悪人のたすかりぬべき方法候はば、しめし給へ」。其時上人涙に咽びて、しばしは物も宣はず。



良久しうあッて、「誠に受け難き人身を受けながら、むなしう三途にかへり給はん事、かなしんでもなほあまりあり。しかるを今穢土をいとひ、浄土を願はんに、悪心を捨て、善心発しましまさん事、三世の諸仏も定めて随喜し給ふべし。それについて、出離の道まちまちなりといへども、末法濁乱の機には、称名をもッて勝れたりとす。心ざしを九品にわかち、行を六字につづめて、いかなる愚智闇鈍の者も唱ふるに便あり。罪ふかければとて、卑下し給ふべからず、十悪五逆廻心すれば往生をとぐ。功徳すくなければとて望をたつべからず、一念十念の心を致せば来迎す。「専称名号至西方」と釈して、専ら名号を称ずれば、西方にいたる。「念々称名常懺悔」とのべて、念々に弥陀を唱ふれば、懺悔する也とをしへたり。「利剣即是弥陀号」を頼めば、魔縁ちかづかず。「一声称念罪皆除」と念ずれば、罪みなのぞけりと見えたり。浄土宗の至極、おのおの略を存じて、大略是を肝心とす。但し往生の得否は信心の有無によるべし。ただふかく信じてゆめゆめ疑をなし給ふべからず。」



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〈現代語訳〉


(平重衡は言った。)「つくづく自分の生涯の行為を思うと、罪は須弥山(しゅみせん)よりも高く、善行は微塵ほども蓄えが無い。このままむなしく生涯を終えたなら、来世での苦しみは決して疑いありません。願う事には、法然上人様、慈悲の心をおこして憐れみをかけて、このような悪人が助かることのできる方法があるならば、お示しくだされ。」その時、法然上人は涙にむせんでしばらくはものもおっしゃられない。


しばらくたってから(法然は)「本当にめったにないことに人間としての生を受けながら、むなしく地獄、畜生、餓鬼のような三つの悪い世界へ帰りなさるようなことは、悲しんでもなおあまりがある。しかしながら今あなたが、汚れた現世を厭い、極楽浄土を願い、悪い心を捨て、良い心をおこしなさるようなことは、過去現在未来の様々な仏様たちも大いに喜びなさるだろう。それにつけて、現世から逃れる道はいろいろあるというが、仏法がすたれ、乱れきった時代には念仏を唱えることが優れているとしている。志す浄土を九つの階級に分けて、修行は『南無阿弥陀仏』のたった六文字に凝縮したので、どのような愚かなものでも唱えるのが容易である。自分は罪が深いからなどといって卑下しなさってはいけない。十の大罪、五つの悪行をしたものも、心を改めれば極楽往生をとげる。善行が少ないからといって望みを絶ってはいけない。念仏を一度唱え、十度唱え、心をつくせば阿弥陀さまがお迎えにくる。『専称名号至西方(せんしょう・みょうごう・し・さいほう)』と言って、専ら阿弥陀仏の名を唱えれば西方極楽浄土にいたります。『念々称名常懺悔(ねんねん・しょうみょう・じょう・さんげ)』といって、瞬間瞬間に阿弥陀を思って念仏を唱えれば、懺悔になると教えている。阿弥陀の名は煩悩を絶つ剣と信じれば、悪い縁が近づかない。一声の念仏は全ての罪を除くと思うことで、罪がみな消えるとも書かれている。浄土宗の奥義をそれぞれ簡略に述べましたが、ともかく大要を知るのが大切です。ただし結局往生ができるかどうかは信仰心の有無によるだろう。ただ深く信じて決して疑いをなさってはいけない。」(と言った。)


posted by manabiyah at 11:34| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする