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2013年11月06日

10分でわかる「平家物語」巻十一「那須与一」(平家側が義経の軍勢に向かって、舟を進めて、射てみよと扇をかかげる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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さる程に、阿波・讃岐に平家をそむいて、源氏を待ちける者ども、あそこの峯、ここの洞より、十四五騎、廿騎うちつれうちつれ参りければ、判官ほどなく三百余騎にぞなりにける。「けふは日暮れぬ、勝負を決すべからず」とて引退く処に、おきの方より尋常にかざッたる小舟一艘、みぎはへむいてこぎよせけり。磯へ七八段ばかりになりしかば、舟をよこさまになす。「あれはいかに」と見る程に、舟のうちよりよはひ十八九ばかりなる女房の、まことに優にうつくしきが、柳のいつつぎぬに、くれなゐのはかま着て、みな紅の扇の日出したるを、舟のせがいにはさみ立てて、陸へむいてぞまねいたる。


判官、後藤兵衛実基をめして、「あれはいかに」とのたまへば、「射よとにこそ候ふめれ。ただし大将軍矢おもてにすすむで、傾城を御らんぜば、手たれにねらうて射落とせとのはかり事とおぼえ候ふ。さも候へ、扇をば射させらるべうや候ふらん」と申す。「射つべき仁はみかたに誰かある」とのたまへば、「上手どもいくらも候ふなかに、下野国の住人、那須太郎資高が子に、与一宗高こそ小兵で候へども、手ききで候へ」。「証拠はいかに」とのたまへば、「かけ鳥なンどをあらがうて、三つに二つは必ず射おとす者で候ふ」。「さらばめせ」とてめされたり。


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〈現代語訳〉


そのうちに、阿波や、讃岐で平家にそむいて源氏の進攻を待っていた者達があちらの峰や、こちらの洞窟から、十四五騎、二十騎と、連れ立って参ったので、義経の軍勢は間もなく三百騎ほどになってしまった。「今日は日が暮れてしまった、勝負を決することはできない」として引きのいた時、平家方の沖の方から、立派に飾った小舟が一艘、陸地の水に接するところを向いて漕ぎ寄せてきた。磯への距離が80mほどになったので、船を横向きにした。あれはどうしたことだ、と見るうちに、船の中から年は18歳19歳ほどである女房で、まことに優美で美しい女房が、五枚重ねた「柳がさね」という装束に、紅の袴を着て、赤地の扇に、日の丸を金箔で押し出して描いたものを船のせがいにはさみ立てて、陸に向かって手招きをした。

義経が後藤兵衛実基をお呼びになって「あれはどういうことだ」とおっしゃったところ、「あの扇を射よということのようです。ただし大将が自ら矢が飛んでくる正面に進み出てあの美女をご覧になるなら、腕前の優れたものが狙って射落とせという計画かと思われます。そうではございますが、扇を射させなさるべきでございましょう」と申した。 義経が「あの扇を射ることのできる人物は味方に誰かいるか」とおっしゃったので、(後藤)「上手なものはが何人もおります中で、下野の国の住人である那須の太郎すけたかという者の子で、与一むねたかという者は、小柄の者ですが、腕が立ちます。」「証拠はどうなのか」と義経がおっしゃると、(後藤)「空を飛ぶ鳥を討つことを競い合って、3回に2回は必ず射落とすものでございます。」(義経)「ならば呼べ」ということでお呼びになった。

posted by manabiyah at 14:30| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする