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2010年09月16日

10分でわかる「平家物語」巻一「鱸」(熊野詣での過程で起こった出来事が、平清盛の出世を暗示させるものであった)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


平家かやうに繁昌せられけるも、熊野権現の御利生とぞきこえし。


其故は、いにしへ、清盛公いまだ安芸守たりし時、伊勢の海より船にて熊野へまいられけるに、おほきなる鱸の船におどり入りたりけるを、先達申けるは、「是は権現の御利生なり。いそぎまいるべし」と申ければ、清盛のたまひけるは、「昔、周の武王の船にこそ白魚は、躍り入りたりけるなれ。是れ吉事なり」とて、さばかり十戒をたもち、精進潔斎の道なれども、調味して、家子、侍共にくはせられけり。


其故にや、吉事のみうちつづいて、太政大臣まできはめ給へり。子孫の官途も竜の雲に昇るよりは、なほすみやか也。九代の先蹤を、こえ給ふこそ目出たけれ。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」


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平家物語 (岩波新書)


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〈現代語訳〉


平家がこのように繁栄しなさったのも、熊野権現のご利益だとうわさになった。


その理由は、かつて清盛公がまだ、安芸の守であった時、伊勢の海から船で熊野にお参りなさったところ大きな鱸が舟の中に踊るようにして入って来たので、先導をしていた修験者が申し上げたことには、「これは熊野権現のご利益である。すぐに、召し上がるがよい。」と申したところ、清盛がおっしゃったことには「昔、中国、周の国の武王の船に白魚が踊るように入ったそうだ、これは縁起のよいことだ。」と言って、それほど十戒を守って、精進潔斎をしていた旅路ではあったが、その白魚(鱸)を調理して、一族の武士や他の侍たちに食べさせなさった。


そのせいであろうか、良い事だかりが続いて起こって、清盛は太政大臣にまで位を極めなさった。子孫達の官職も龍が雲にのぼるよりもそれ以上に早かった。清盛公がこれまで九代の祖先の位を越えなさったのはすばらしい。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする