「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2010年10月21日

10分でわかる「平家物語」巻一「二代后」(近衛院の皇后であった女性を、自分の后として改めて入内させた二条天皇)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


大宮かくときこしめされけるより、御涙にしづませおはします。先帝に後れまいらせにし久寿の秋のはじめ、おなじ野原の露とも消え、家をも出で世をものがれたりせば、今かかるうき耳をばきかざらましとぞ、御歎ありける。


父のおとどこしらへ申させ給ひけるは、「『世にしたがはざるをもて狂人とす』と見えたり。既に詔命を下さる。子細を申すにところなし。ただすみやかにまいらせ給ふべきなり。もし皇子御誕生ありて、君も国母といはれ、愚老も外祖とあふがるべき瑞相にてもや候ふらむ。是れ偏に愚老をたすけさせおはします御孝行の御いたりなるべし」と申させ給へども、御返事もなかりけり。


大宮其比なにとなき御手習の次に、


  うきふしにしづみもやらでかは竹の世にためしなき名をやながさん


世にはいかにしてもれけるやらむ、あはれにやさしきためしにぞ、人々申しあへりける。


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〈現代語訳〉


大宮はこのようになったとお聞きになって以来、涙にくれて沈んでいらしゃる。「近衛帝に先立たれ申し上げた久寿の秋の始めに、帝と同じように野原の露のように、この世から消え、もし出家をして、俗世から逃れていたらなら、今になってこのように、つらいことを聞かなかっただろうに。」とお嘆きになった。


父大臣が諌め申し上げなさったことには「『世にしたがわないものをもって狂人とする』と言われている。すでに天皇はご命令を下さったのだ。あれこれと申し上げる余地は無い。ただ速やかに帝のもとに参りなさるべきである。もしかして、これは、皇子の誕生があって、あなたが国の母と呼ばれ、私も外祖父と人から仰がれることへの吉兆が現れているのでしょうか。これはただただ、老いた父をあなたがお助けになるという親孝行の極みであるでしょう。」と申し上げなさったが、大宮のお返事はなかった。


大宮はその頃、なんということもなく手習いの際に


「近衛帝の死をつらく思い 臥せって沈んだ気持ちでい続けることも許されないで
私は二代の帝に入内して 例のない浮き名を流すのだろうか」


この歌は、どのようにして漏れたのだろうか。しみじみと健気なものであるとして、人々は申しあった。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする