「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2010年11月03日

10分でわかる「平家物語」巻一「殿下乗合」(孫の受けた恥辱を晴らそうとする平清盛)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


資盛朝臣、大炊御門猪熊にて、殿下の御出に、はなづきにまいりあふ。御ともの人々「なに者ぞ、狼籍なり。御出のなるに、乗物よりおり候へおり候へ」といらでけれでも、余にほこりいさみ、世を世ともせざりけるうへ、めし具したる侍ども、皆廿より内のわか者どもなり。礼儀骨法弁へたる者一人もなし。


殿下の御出ともいはず、一切下馬の礼儀にも及ばず、かけやぶッてとをらむとするあひだ、くらさは闇し、つやつや入道の孫ともしらず、又少々は知つたれども、そらしらずして、資盛朝臣をはじめとして、侍ども皆馬よりとて引おとし、頗る恥辱に及びけり。


資盛朝臣、はうはう六波羅へおはして、おほぢの相国禅門に此由うッたへ申されければ、入道大きにいかッて、「たとひ殿下なりとも、浄海があたりをばはばかり給ふべきに、おさなきものに左右なく恥辱をあたへられけるこそ遺恨の次第なれ。かかる事よりして、人にはあざむかるるぞ。此事おもひしらせたてまつらでは、えこそあるまじけれ。殿下を恨み奉らばや」とのたまへば、


重盛卿申されけるは、「是は少もくるしう候ふまじ。頼政・光基など申源氏共にあざむかれて候はんには、誠に一門の恥辱でも候ふべし。重盛が子どもとて候はんずる者の、殿の御出にまいりあひて、のりものよりおり候はぬこそ尾籠に候へ」とて、其時事にあふたる侍どもめしよせ、「自今以後も、汝等能く能く心うべし。あやまッて殿下へ無礼の由を申さばやとこそおもへ」とて帰られけり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

------------------------------------------------------------------------------------
【アイテム紹介】2012年の大河ドラマ「 平清盛」。「平家物語」や、吉川英治「新平家物語」などで既に作られている既存の清盛像に留まらず、新たな清盛像を描き出そうと、果敢に挑んだ意欲作。俳優陣の新鮮な演技、斬新な音楽、新たな物語解釈。特に後半の脚本の切れ味は素晴らしい。忠盛の男っぷり、西行出家の際の美しい桜の描写、父を諌める重盛、時忠の例のセリフや、仏御前の登場場面等々、名シーン・名演がたくさん。最終回、壇の浦からの、まさかのあのラストシーンもなかなか良かったと思います。

タイトルor画像↓をクリックすると詳細が表示されます
NHK大河ドラマ 平清盛 完全版 Blu-ray-BOX 第壱集

NHK大河ドラマ 平清盛 完全版 Blu-ray-BOX 第弐集

------------------------------------------------------------------------------------

〈現代語訳〉


平資盛朝臣(たいらのすけもりあそん)は、大炊御門(おほひのみかど)猪熊で、摂政藤原元房の行列と出会い頭に参りあった。摂政の御供の人々は、「何者だ、無礼だ。摂政藤原元房さまのお出ましであるのだ、乗物から降りてください、降りてください。」とせかしたが、あまりにも一族の権勢を誇り、いさんで、世を世とも思わなかった上、引き連れていた侍たちは、みな二十歳以下の若者である。礼儀作法を弁えている者はひとりもいない。


摂政藤原元房さまのお出ましとも気にせず、一切、馬から降りるというような礼儀を行なわず、馬で辺りをかけ破って無理に通ろうとするので、(摂政の御供の人々は)暗さのせいで清盛入道の孫とは気づかず、また多少は気づいたものでも、あえて知らないふりをして、資盛朝臣をはじめとして、侍たちを皆、馬から引き摺落として、ひどい恥ずかしめにあわせた。


資盛朝臣はやっとのことで、六波羅にいらっしゃって、祖父である清盛入道に、この旨を訴え申し上げたので、入道は大いに怒って、「たとえ、摂政さまといえども、私、清盛の身内には遠慮なさるのが当然であるのに、幼い資盛に躊躇することもなく、恥辱を与えなさったことは恨みをのこす事態である。こういうことから、人にあざむかれるものだ。このことを摂政さまに、思い知らせ申し上げないではいられないだろう。元房殿下をお恨み申し上げたい。」とおっしゃると、


重盛が申し上げたことには「頼政・光基などと申す源氏どもにあざむかれますならば、本当に、平家一門の恥辱でございましょう。重盛の子どもでありますものが、摂政さまのお出ましに遭遇して、乗り物から降りませんことは愚かでございます。」と言って、その時事に当たっていた侍たちを呼び寄せて、「今より以後も、お前たちよくよく心得るがよい。過失によって摂政さまに無礼をしたとの旨を申し上げようと思う。」といってお帰りになった。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする