「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2011年01月06日

10分でわかる「平家物語」巻二「烽火之沙汰」(命をかけた平重盛の大演説)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


是は君の御理にて候へば、叶はざらむまでも、院の御所法住寺殿を守護し参らせ候ふべし。其故は、重盛叙爵より今大臣の大将にいたるまで、しかしながら君の御恩ならずといふことなし。其恩の重き事を思へば、千顆万顆の玉にもこえ、其恩の深き事を案ずれば、一入再入の紅にもなほ過ぎたらん。しかれば、院中に参りこもり候べし。其儀にて候はば、重盛が身にかはり、命にかはらんと契たる侍共少々候らん。これらを召し具して、院の御所法住寺殿を守護し参らせ候はば、さすが以外の御大事でこそ候はんずらめ。


悲しきかな、君の御ために奉公の忠をいたさんとすれば、迷慮八万の頂より猶たかき父の恩、忽にわすれんとす。痛ましきかな、不孝の罪を逃れんと思へば、君の御ために既不忠の逆臣となりぬべし。進退惟谷れり、是非いかにも弁へがたし。申うくるところ、詮は、ただ重盛が頸をめされ候へ。さ候はば、院中をも守護し参らすべからず、院参の御供をも仕るべからず。




平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」


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【アイテム紹介】「平家物語」で繰り返し生じる清盛と後白河法皇の対立。「重盛は法皇と清盛の対立を超越した運命の予言者である」という解釈をされているのが、石母田正氏。「岩波新書青版「平家物語 」は平家物語成立の過程に対しての考察など、「平家物語」を読み解くためのエッセンスが凝縮された歴史的名著です。



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平家物語 (岩波新書)


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〈現代語訳〉


これは後白河法皇様側にとっては当然の道理がございますので、私重盛はそれが叶わないことであっても、院の御所である法住寺をお守り申し上げるつもりです。その理由は、私重盛が始めて五位に叙させられて以来、現在の大臣かつ大将の位に至るまで、すべて後白河法皇さまのご恩でないことはない。その恩の重みを思うと、千粒万粒の宝石を越え、その恩の深さを案ずると、何度も染め直した紅の色にも勝るでしょう。そうであるので、私は院の御所へと参って籠るつもりです。そのようなことになりましたら、私重盛の身に代わって、命に替えてもと誓う侍たちが少しはおりますでしょう。その侍たちを呼び寄せて、ともに連れて、院の御所である法住寺をお守りし申し上げますならば、そうはいってもやはり、もってのほかの一大事でございましょう。


悲しいことだ。後白河院様のために忠義を尽くそうとすると、須弥山八万由旬の頂上よりも高い父の恩をたちまちに忘れることになります。痛ましいことだよ、親不孝の罪を逃れようとすると、君主に対して背く、不忠儀ものの反逆者となってしまうだろう。進むこともできず、退くこともできない。是も非もどうにも判断しかねる。お願いもうしあげるところは、結局は、ただ私重盛の首をおはねになってください。もしそうなりますならば、院をお守り申し上げることも、院を攻める父側のお供をすることもできません。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする