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2011年01月20日

10分でわかる「平家物語」巻二「大納言死去」(平家に捕らえられた新大納言成親が流罪にされ処刑される)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


さる程に、大納言入道殿をば、同八月十九日、備前・備中両国の堺、庭瀬の郷吉備の中山と云ふ所にて、つひに失ひ奉る。其最後の有様、やうやうに聞えけり。酒に毒を入れてすすめたりけれども、叶はざりければ、岸の二丈ばかりありける下にひしを植ゑて、うへよりつき落し奉れば、ひしにつらぬかッてうせ給ひぬ。無下にうたてき事どもなり。ためしすくなうぞおぼえける。


大納言の北の方は、此世になき人と聞きたまひて、「いかにもして今一度、かはらぬすがたを見もし、見えんとてこそ、けふまでさまをもかへざりつれ。今は何にかはせん」とて、菩提院と云ふ寺におはし、さまをかへ、かたのごとくの仏事をいとなみ、後世をぞ弔ひ給ひける。


此北方と申すは、山城守敦方の娘なり。勝れたる美人にて、後白河法皇の御最愛ならびなき御思ひ人にておはしけるを、成親卿ありがたき寵愛の人にて、給はられたりけるとぞ聞えし。幼き人々も花を手折り、閼伽の水を結んで、父の後世を弔ひ給ふぞ哀れなる。さる程に、時うつり事さッて、世のかはりゆくありさまは、ただ天人の五衰にことならず。


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〈現代語訳〉


その成親の最期の様子は様々に噂となって伝わった。酒に毒を入れてそれを飲むように勧めたが、それは成親が、拒否してうまくいかなかったので、崖で二丈ほどの高さのあるところの下に菱を植えて、上から成親を突き落としなさったので、菱に貫かれてお亡くなりになった。ひどく残酷なことである。このようなことは、前例の少ないことだと思われる。


大納言の北の方は、成親がすでにこの世にいない人であると聞きなさって「なんとかして、もう一度、成親の変わらない姿を見たい、そして自分の姿をお目にかけたい」と、今日まで尼姿となることもしなかった。「それも今となっては何の意味もない」と、菩提院という寺にいらっしゃって、尼姿となり、型どおりに仏事を行って、成親の来世での冥福を祈り、弔いなさった。


この北の方と申し上げた人は山城守敦方(やましろのかみあつかた)の娘である。優れた美人で、後白河法皇の最愛の人で、並ぶもののない愛人でいらっしゃったのを、成親卿は法皇にとってのめったにない寵臣であるとして、この山城守敦方の娘を頂いたと噂になった。幼い人々も花を折り、供養のための水を供えて、父の来世を弔いなさったのは物悲しい。そのようにしているうちに、時が移って事は去っていき、世の移り行く様子は、ただ天人の五衰に異ならない。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする