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2011年02月17日

10分でわかる「平家物語」巻三「大塔建立」(平家と厳島神社の関係)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


「厳島はなきが如くに荒れ果てて候ふ。此のついでに奏聞して修理せさせ給へ。さだにも候はば、官加階は肩をならぶる人もあるまじきぞ」とて立たれけり。此老僧の居給へる所、異香すなはち薫じたり。人を付て見せ給へば、三町ばかりは見え給ひて、其後はかき消つやうに失せ給ひぬ。


ただ人にあらず、大師にてましましけりと、いよいよたッとくおぼえて、娑婆世界の思出にとて、高野の金堂に曼陀羅を書かれけるが、西曼陀羅をば常明法印といふ絵師に書せらる。東曼陀羅をば清盛書かんとて、自筆に書かれけるが、何とか思はれけん、八葉の中尊の宝冠をばわが首の血を出いて書かれけるとぞ聞えし。


さて都へのぼり、院参して此由奏聞せられければ、君もなのめならず御感あッて、猶任を延べられ、厳島を修理せらる。鳥居を立てかへ、社々を作りかへ、百八十間の廻廊をぞ造られける。


修理をはッて、清盛厳島へ参り、通夜せられたりける夢に、御宝殿の内より鬟結うたる天童の出でて、「これは大明神の御使なり。汝この剣をもッて一天四海をしづめ、朝家の御まもりたるべし」とて、銀の蛭巻したる小長刀を給はるといふ夢をみて、覚めて後見給へば、うつつに枕上にぞ立ッたりける。大明神御詫宣あッて、「汝知れりや、忘れりや、ある聖をもていはせし事は。但し悪行あらば、子孫までは叶ふまじきぞ」とて、大明神上がらせ給ひぬ。目出たかりし事どもなり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


「厳島神社はまるでないもののように荒れ果てています。この機会に帝に奏上して修理しなさってください。もしせめてそのようにしましたら、官位を得ることについて、あなたと肩を並べる人もいないだろう。」といって(老僧は)お立ちになった。この老僧がいなさった場所は、特別な香りが漂っていた。人をつけて見せなさると、三町くらいまでは姿が見えたが、その後はかき消すように消えなさってしまった。


「ただ者ではない、弘法大師でいらっしゃたのだ。」と、ますます尊く思って、「現世の思い出に」と、清盛は高野山の金堂に曼荼羅をお書きになったが、西曼陀羅をば常明(じょうみょう)法印といふ絵師に書かせなさる。「東曼陀羅をば、私清盛が書こう」と、自らの手でお書きになったのだが、なにを思われたのだろうか、蓮華座の上の大日如来の冠を、自分の首の血を出して、それでお書きになったとうわさになった。


そして都にのぼって、清盛は院に参ってこの老僧のお告げについて申し上げると、院も並々でなく感動なさって、なおいっそう清盛の安芸の国司としての任期を延長しなさって、厳島神社を修理しなさる。鳥居を立て替えて、やしろを作りかえて、百八十間の回廊をお造りになった。


修理が終わって、清盛は厳島神社に参って、夜通し籠りなさった時の夢に、御宝殿の中からびんづらを結った童が出て来て「これは大明神のお使いである。お前はこの剣によって天下を鎮めて、朝廷のお守りになるがよい。」ということで、銀がヒルのように巻かれた装飾を施された小さい長刀を頂くという夢を見て、目を覚まして見なさると、現実にも枕もとにその小長刀が立っていた。大明神からのお言葉があった。「お前は知っているか、ある聖をもって言わせた事を。ただし悪行があるなら子孫までは叶わないだろう。」と言って大明神は去っていかれた。素晴らしかったことである。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする