「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2011年03月10日

10分でわかる「平家物語」巻三「僧都死去」(鬼界が島に流された俊寛が亡くなる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


「此島へながされて後は、暦もなければ、月日のかはり行くをも知らず。ただおのづから花の散り、葉の落つるを見て春秋をわきまへ、蝉の声麦秋を送れば夏と思ひ、雪のつもるを冬としる。白月黒月のかはり行くをみて、卅日をわきまへ、指を折ッてかぞふれば、今年は六つになると思ひつる幼き者も、はや先立ちけるごさんなれ。


西八条へ出でし時、この子が、我もゆかうど、したひしを、やがて帰らうずるぞとこしらへおきしが、今の様に覚ゆるぞや。其れを限りと思はましかば、今しばしもなどか見ざらん。親となり、子となり、夫婦の縁をむすぶも、みな此世ひとつにかぎらぬ契ぞかし。などさらば、それらが、さやうに先き立ちけるを、今まで夢まぼろしにも知らざりけるぞ。人目も恥ぢず、いかにもして、命いかうど思ひしも、これらを今一度見ばやと思ふためなり。



姫が事ばかりこそ心ぐるしけれども、それは生き身なれば、歎きながらも過ごさんずらん。さのみながらへて、己にうき目を見せんも、我身ながらつれなかるべし」とて、をのづからの食事をもとどめ、ひとへに弥陀の名号をとなへて、臨終正念をぞ祈られける。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」



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〈現代語訳〉


「この鬼界が島に流されて後は、暦もないので、月日が過ぎ行くのも分らなかった。ただ自然に花が散り、葉が落ちるのを見て春や秋を知り、蝉の声が麦の熟す頃の終わりを告げると夏だと思い、雪が積もることで冬と知った。新月から満月へ、満月から新月へと変わっていくのを見て30日を知り、指折り数えてみると、今年で六歳になると思っていた幼い子もすでに先立ってしまったようだ。」


「私が西八条へ出頭した時、此の子が自分も行こうと慕ってきたのを、『すぐに帰って来るよ』と、なだめておいたのが、今現在のことのように思われるよ。それっきりになると思っていたなら、どうしてもうほんの少しの間でもあの子を見ておかなかったんだろう。親となったり、子となったり、夫婦の縁を結ぶのも、みなすべて現世だけに限らない縁なのだよ。私の家族たちがそのように先立ったことを、今まで夢や幻にさえも私は知らなかったのだ。人目を恥じることもなく、どうにかして命を生きながらえようと思ったのも、家族にもう一度会いたいと思うがゆえである。」


「残された12歳の姫の事だけは心配だが、その子は生きているので、嘆きながらもなんとか暮らしていけるだろう。こんな状態でばかり私が生きながらえて、有王、お前につらい思いをさせることは私としても無情であるだろう。」と、たまの食事も摂る事をやめ、ひたすら阿弥陀の名を唱えて、死に臨んで、妄念は捨てて、祈りを捧げた。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする