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2011年04月28日

10分でわかる「平家物語」巻三「城南之離宮」(幽閉された後白河法皇の鳥羽殿での暮らし)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


法皇は城南の離宮にして、冬もなかば過ごさせ給へば、野山の嵐の音のみ烈しくて、寒庭の月の光りぞさやけき。庭には雪のみ降つもれども、跡ふみつくる人もなく、池にはつらら閉ぢ重ねて、群れゐし鳥も見えざりけり。おほ寺の鐘の声、遺愛寺の聞きを驚かし、西山の雪の色、香炉峯の望みをもよほす。よる霜に寒き砧のひびき、かすかに御枕につたひ、暁氷をきしる車の跡、遥に門前に横たはれり。巷を過ぐる行人征馬の忙がはしげなる気色、浮世を渡る有様も思し召し知られてあはれなり。


「宮門を守る蛮夷のよるひる警衛をつとむるも、先の世のいかなる契にて今縁を結ぶらん」と仰せなりけるぞかたじけなき。凡そ物にふれ事にしたがッて、御心をいたましめずといふ事なし。さるままにはかの折々の御遊覧、ところどころの御参詣、御賀のめでたかりし事ども、思し召しつづけて、懐旧の御泪抑へがたし。年さり年来て、治承も四年になりにけり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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【アイテム紹介】「平家物語」の入門書としては最強のわかりやすさだと思います。それもそのはず、著者の千明守氏は、代々木ゼミナール講師の椎名守。予備校講師としても一流の著者による解説です。文体は架空の生徒と先生のやりとりの形式になっていて、大変に読みやすい本です。イラストなども豊富に使われていて、読んでいて眠くなりません。「平家物語」の参考書を買うならば、1冊目に選ぶべき本はこの「平家物語が面白いほどわかる本」です!

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〈現代語訳〉


後白河法皇は鳥羽殿で、冬も半分ほど過ごしなさったので、野山の嵐の音ばかりが激しく、寒々しい月の光が美しい。庭は雪が積もるばかりであるが、雪に足あとを踏んでつける人もなく、池には氷が張って重なりあって、群れて集まっていた鳥も姿が見えなくなった。大寺の鐘の響きは遺愛寺の鐘の響きのようで、西山の雪の様子は香炉峰の眺望を想起させる。夜には霜の置く寒さの中、布を叩く砧の響きがかすかに枕に伝わり、明け方には、氷の上をきしませながら通る車の跡が、門の前に横たわっている。道をゆく人、旅する馬の忙しそうな様子、この世を渡る人々の暮らしの様子も思い知られてしみじみとしたお気持ちになる。


「宮廷の門を守る辺境から来た武士たちで、夜も昼も警備に勤めている者達は、前世でどのような運命によって私と縁を結んでいるのだろう。」と、おっしゃったことはもったいない。法皇は万事につけて心を痛めないことはない。そうしているうちにその時々のご遊覧や、あちこちへのご参詣、祝いの賀の素晴らしかったことなどを思い続けられて、昔を懐かしむ涙を抑え難い。そして年は去り、新しい年が来て治承四年となってしまった。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする