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2011年05月19日

10分でわかる「平家物語」巻四「還御」(厳島を立ち去ろうとした高倉上皇とその周りの者たちの雅やかなエピソード)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)



同廿九日、上皇御舟かざッて還御なる。風はげしかりければ、御舟こぎもどし、厳島のうち、ありの浦にとどまらせ給ふ。上皇「大明神の御名残おしみに、歌つかまつれ」と仰せければ、隆房の少将


たちかへるなごりもありの浦なれば神もめぐみをかくるしら浪


夜半ばかりより浪もしづかに、風もしづまりければ、御舟こぎいだし、其日は備後国しき名の泊につかせ給ふ。此の所はさんぬる応保のころほひ、一院御幸の時、国司藤原の為成がつくッたる御所のありけるを、入道相国、御まうけにしつらはれたりしかども、上皇それへは上がらせ給はず。


「けふは卯月一日、衣がへといふ事のあるぞかし」とて、おのおの都の方を思ひやりあそび給ふに、岸に色ふかき藤の松に咲きかかりたりけるを、上皇叡覧あッて、隆季の大納言を召して、「あの花折りにつかはせ」と仰せければ、左史生中原康定がはし舟に乗って、御前を漕ぎ通りけるを召して、折りにつかはす。藤の花を手折り、松の枝につけながらもて参りたり。「心ばせあり」など仰せられて、御感ありけり。「此花にて歌あるべし」と仰せければ、隆季の大納言


千とせへん君がよはひに藤なみの松の枝にもかかりぬるかな


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「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


同じく3月29日、高倉上皇は船を準備してお帰りになる。風が激しかったので、船を漕ぎ戻して厳島の中の「ありの浦」というところに留まりなさった。高倉上皇が「大明神への名残が惜しいので、歌を詠み申し上げよ。」とおっしゃったので、隆房の少将が歌を詠んだ。


「改めて帰って来たくらいに名残ある『ありの浦』なので 神も我らに恵みをかけて 波をかけて美しい白波をかけてくれることよ」


夜中ごろから波も静かになり、風も鎮まったので、船を漕ぎ出して、その日は備後の国、しきなという港に到着しなさった。この場所は去る応保年間に後白河院がいらっしゃった時、国司であった藤原為成が作った御所があったのを、平清盛が、この高倉上皇の御幸のために準備をしていたが、高倉上皇はそちらへは行かれなかった。


「今日は4月1日、衣替えということがあるのだよ。」といって、それぞれが都の方へと思いを馳せながら管弦の遊びなどをしなさると、岸の方に色の濃い藤の花が咲いて、松の枝に巻き付いていたのを、高倉上皇がご覧になって、隆季(たかすえ)の大納言をお呼びになって「あの花を折りに人をつかわせよ。」とおっしゃるので、左史生(さししょう)という役職にあった中原の康定が小舟に乗って上皇の前を通り過ぎるのを呼んで、藤を折りにやった。康定は藤の花を手折って、松の枝に巻き付いたままに持って参上した。上皇は「趣きがある」などとおっしゃられて、感動なさった。「この花を題に歌を詠め。」と上皇がおっしゃられたので、隆季の大納言が詠んだ。


「千歳を経るという高倉上皇様の年齢にあやかるように 藤の花が松の枝にかかっていることだなあ」


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする