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2011年05月26日

10分でわかる「平家物語」巻四「源氏揃」(以仁王に謀反を勧め熱く語りかける源頼政)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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其比、一院第二の皇子以仁の王と申ししは、御母加賀大納言季成卿の御娘なり。三条高倉にましましければ、高倉の宮とぞ申ける。去じ永万元年十二月十六日、御年十五にて、忍つつ近衛河原の大宮の御所にて御元服ありけり。御手跡うつくしうあそばし、御才学すぐれてましましければ、位にもつかせ給ふべきに、故建春門院の御そねみにて、おし籠められさせ給ひつつ、花のもとの春の遊には、紫毫をふるッて手づから御作をかき、月の前の秋の宴には、玉笛をふいてみづから雅音をあやつり給ふ。かくしてあかしくらし給ふほどに、治承四年には、御年卅にぞならせましましける。


其比近衛河原に候ひける源三位入道頼政、或夜ひそかに此宮の御所に参ッて、申しけることこそ恐ろしけれ。「君は天照大神四十八世の御末、神武天皇より七十八代にあたらせ給ふ。太子にもたち、位にもつかせ給ふべきに、卅まで宮にてわたらせ給ふ御事をば、心うしとは思し召さずや。当世のていを見候ふに、上には従ひたる様なれども、内々は平家をそねまぬ物や候ふ。御謀反おこさせ給ひて、平家をほろぼし、法皇のいつとなく鳥羽殿におしこめられてわたらせ給ふ御心をも、休め参らせ、君も位につかせ給ふべし。これ御孝行のいたりにてこそ候はんずれ。もし思し召したたせ給ひて、令旨を下させ給ふ物ならば、悦をなして参らむずる源氏どもこそ多う候へ」とて申しつづく。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」


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源氏揃・橋合戦──宝井琴梅
信連──平井真軌
競──市川亀治郎
宮御最期──中西和久
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〈現代語訳〉


その頃、後白河院の第二皇子で以仁王と申し上げた方は、母は加賀大納言藤原季成(すえなり)卿の娘である。三条の高倉にいらっしゃったので、高倉の宮と申し上げた。去る永万元年十二月十六日、十五歳で、密かに近衛河原の大宮の御所で元服された。筆跡が美しくいらっしゃって、学問においても優れていらっしゃったので、帝の位におつきになるべきであるのに、亡くなった建春門院平滋子のそねみによって、押し込められなさって、桜の花のもとでの春の管弦や詩歌の遊びの時には、筆をふるって自ら漢詩を書き、月の前での秋の宴席では笛を吹いて、自ら雅びな音色を鳴らして演奏しなさった。こうして日々を明かし暮らしなさっている間に治承四年には三十歳になりなさった。


その頃近衛河原にお控え申し上げた源頼政は、ある夜ひそかにこの以仁王の御所に参って、申したことは恐ろしい。「あなたは天照大神の四十八世の子孫で、神武天皇から七十八代目に当たりなさる。皇太子として立って、位にもつきなさるべきなのに、三十歳までただ宮におられることを情けないとはお思いにならないのですか。今の世の中の様子を見ておりますと、表面上では従っているようですが、内心では平家を恨んでいない者がおりますでしょうか。いや皆に平家を恨んでいます。謀反を起こしなさって、平家を滅ぼして、後白河法皇のいつまでともなく鳥羽殿に押し込められていらっしゃる御心をも、休ませ申し上げて、御自身も皇位につきなさるべきだ。これは親孝行の極みでもございましょう。もしご決心なされて、令旨を下しなさるものであるなら、喜んではせ参ずるであろう源氏の武者たちはたくさんおります。」といって申し続けた。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする