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2011年06月16日

10分でわかる「平家物語」巻四「信連」(女装してなんとか御所を脱出した以仁王)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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宮は五月十五夜の雲間の月をながめさせ給ひ、なんの行方も思し召しよらざりけるに、源三位入道の使者とて、文持ッていそがしげにていできたり。宮の御乳母子、六条のすけの大夫宗信、これをとて御前へ参り、開いて見るに、「君の御謀反すでにあらはれさせ給ひて、土佐の畑へながしまいらすべしとて、官人共御むかへにまいり候。いそぎ御所をいでさせ給て、三井寺へ入らせをはしませ。入道もやがてまいり候べし」とぞ書いたりける。


「こはいかがせん」とて、さはがせおはしますところに、宮の侍長兵衛尉信連といふ物あり。「ただ別の様候まじ。女房装束にていでさせ給へ」と申しければ、「しかるべし」とて、御髪をみだし、かさねたる御衣に市女笠をぞめされける。六条の助の大夫宗信、唐笠もッて御ともつかまつる。鶴丸といふ童、袋にもの入れていただいたり。譬へば青侍の女をむかへてゆくやうにいでたたせ給ひて、高倉を北へ落ちさせ給ふに、大きなる溝のありけるを、いともの軽うこえさせ給へば、みちゆき人たち留まッて、「はしたなの女房の溝の越えやうや」とて、あやしげにみまいらせければ、いとどあしばやにすぎさせ給ふ。


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〈現代語訳〉


以仁王は五月十五日の夜の雲の間から見える月をぼんやりと物思いに耽りながら見なさって、この先どうなっていくのか我が身の行く末も考えられずにいらっしゃった。源頼政の使者だというものが、手紙をもって慌ただしげに現れた。以仁王の乳母の子である、六条の助の大夫宗信が「これを」といって以仁王の前に参上し、開いてみたところ、「君の御謀反はすっかりと明らかになりなさって、清盛は君を土佐の畑へと流し申し上げようとして、役人たちが迎えにまいります。急いで御所をお出になって、三井寺にお入りになってください。私、頼政もすぐに参るつもりです。」と書いてあった。


以仁王が、「これはどうしたものか」と騒ぎなさっていたところに、以仁王に使える侍で、長兵衛尉信連(ちょうひょうえのじょうのぶつら)というものがいた。「ただ特別のことはするべきではないでしょう、女房の装束を着て脱出なさってください。」と(信連が)申したので、(以仁王は)そうしようと、髪の毛を乱して、衣を重ね着して、女用の笠をお召しになった。六条の助の大夫宗信が唐笠を持ってお共し申し上げた。鶴丸という童が、袋に物を入れて頭にのせた。たとえば若侍が、女を迎えて随行していくようにして出発なさって、高倉を北へと落ちのびていきなさったところ、大きな溝があったのを、(以仁王が)とても軽々とその溝を超えなさったので、道行く人は立ち留まって、「行儀の悪い女房の溝の越えようだよ」と。不思議そうに見申し上げたので、ますます足早に通り過ぎなさった。




posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする