「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2011年06月23日

10分でわかる「平家物語」巻四「信連その2」(以仁王に仕えた長兵衛尉信連の活躍)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


長兵衛尉信連は、御所の留守にぞ置かれたる。女房達の少々おはしけるを、かしこここへたち忍ばせて、見ぐるしき物あらば、とりしたためむとてみる程に、宮のさしも御秘蔵ありける小枝と聞こえし御笛を、只今しもつねの御所の御枕にとり忘れさせ給ひたりけるぞ、立ちかへッても取らまほしうおぼしめす、信連これを見つけて、「あなあさまし。君のさしも御秘蔵ある御笛を」と申して、五町がうちに追ッついて参らせたり。


宮なのめならず御感あッて、「われ死なば、此笛をば御棺に入れよ」とぞ仰せける。「やがて御ともに候へ」と仰ければ、信連申しけるは、「唯今御所へ官人共が御むかへに参り候ふなるに、御前に人一人も候はざらんが、無下にうたてしう候。信連が此御所に候ふとは、上下みな知られたる事にて候ふに、今夜候はざらんは、それも其夜は逃げたりけりなンどいはれん事、弓矢とる身は、かりにも名こそ惜しう候へ。官人どもしばらくあいしらひ候うて、打破ッて、やがて参り候はん」とて、走りかへる。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


長兵衛尉信連(ちょうひょうえのじょうのぶつら)は、御所の留守を守る為に残された。女房たちが少しいらっしゃったのを、あちこちに忍ばせておいて、なにか見苦しいものがあったら処理しようと思ってみているうちに、宮があれほど大事に秘蔵していた小枝とという笛を、まさにこの度に限って、いつもの御所の枕もとに宮がお忘れになった。宮はいったんもどってでも取ってきたいとお思いになる。信連はこの笛を見つけて「ああ驚きあきれることだ。宮はあれほど大事に秘蔵されていた笛を」と申して、以仁王が五町まで逃げる間に追いついて笛をお持ち申し上げた。


以仁王は並々でなくご感動なさって「もし私が死んだら、この笛を棺の中に入れてくれ。」とおっしゃった。「このままお供に控えよ」と信連におっしゃったので、信連が申したことには「ただ今、御所に役人たちが迎えに参りますそうですが、御前に人が一人もおりませんのは、ひどく残念なことでございます。私信連がこの御所に控えていることは、身分の上のものにも下のものにも知られていることでございますのに、今夜私がおりませんでは、『信連は逃げた』などと言われるような事です。弓矢を取る武士の身分は、いやしくも、わが名を惜しむものです。役人たちとしばらく相手をしまして打ち破ってすぐに戻って参りましょう。」といって走り帰った。





posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする