「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2011年06月30日

10分でわかる「平家物語」巻四「競」(源仲綱が飼っていた「木の下」という名馬について)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


三位入道これをきき、伊豆守よびよせ、「たとひこがねをまろめたる馬なりとも、それほどに人の乞はう物を惜しむべき様やある。すみやかにその馬、六波羅へつかはせ」とこそのたまひけれ。伊豆守力およばで、一首の歌を書きそへて六波羅へつかはす。


  恋しくは来てもみよかし身にそへるかげをばいかがはなちやるべき



宗盛卿歌の返事をばし給はで、「あッぱれ馬や。馬はまことによい馬でありけり。されどもあまりに主が惜しみつるがにくきに、やがて主が名のりを金焼にせよ」とて、仲綱といふ金焼をして、むまやに立てられけり。客人来て、「聞こえ候ふ名馬をみ候はばや」と申ければ、「その仲綱めに鞍置いてひきだせ、仲綱めのれ、仲綱め打て、はれ」などのたまひければ、伊豆守これを伝へきき、「身にかへて思ふ馬なれども、権威について取らるるだにもあるに、馬ゆへ仲綱が天下のわらはれぐさとならんずるこそ安からね」とて、大きに憤られければ、三位入道これをきき、伊豆守にむかッて、「何事のあるべきとおもひあなづッて、平家の人どもが、さやうのしれ事をいふにこそあんなれ。其儀ならば、命生きてもなにかせん。便宜をうかがふてこそあらめ」とて、わたくしには思ひもたたず、宮をすすめ申したりけるとぞ、後には聞こえし。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


源頼政は宗盛が名馬を欲しがっていることを聞いて、息子である源仲綱を呼び寄せて、「たとえ黄金をまるめて作ったくらい価値ある馬であるとしても、それほどに人が欲しがっているものを惜しむべきだろうか、いや惜しんではならない。すぐにその馬を六波羅へと遣わせよ。」とおっしゃった。伊豆守仲綱は仕方なく、一首の歌を書き添えてその名馬木の下を六波羅へと遣わした。


「馬が恋しいなら あなたがこちらに来てご覧ください 我が身に沿うている 影のような鹿毛の馬を どうして我が身から放すことができましょうか」


宗盛卿、歌の返事をしなさらないで、「ああ素晴らしい馬だ。この馬は本当にいい馬であるよ。けれどもあまりにも持ち主が惜しんでいたのが憎たらしいので。すぐにその持ち主の名前の焼き印を押せ。」といって、「仲綱」という文字の焼き印を馬に押して、その馬を馬屋に立てなさった。客人が来て「噂に聞きます名馬を見たいです。」と申したところ、「その仲綱めに鞍をのせて引っぱり出せ、仲綱めに乗れ、仲綱めを打て、なぐれ。」などとおっしゃったので、仲綱はこれを伝え聞いて「我が身に変えて大事に思っている馬であるが、権威をかさに取られることでさえひどいことなのに、馬のせいで私仲綱が天下の物笑いの種となるようなことは心外である。」と、大いに憤りをなさったので、源頼政入道はこの件を聞いて、伊豆の守仲綱にむかって言った。「われわれを何事もできないだろうと侮って、平家のものどもが、そのような馬鹿げた事を言うのであるだろう。そういうことであれば生きながらえてもどうしようもない。よい機会をうかががって事を起こそう。」と、個人的報復を思い立つのではなく、宮に平家を討つことをすすめ申し上げたと、後の噂になった。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする