「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2011年07月14日

10分でわかる「平家物語」巻四「永僉議」(三井寺園城寺側の、平家打倒に向けた作戦会議)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


三井寺には又大衆おこッて僉議す。「山門は心がはりしつ。南都はいまだ参らず。此事のびては悪しかりなん。いざや六波羅に押しよせて、夜打にせん。其儀ならば、老少二手にわかッて老僧どもは如意が峰より搦手にむかふべし。足軽ども四五百人さきだッて、白河の在家に火をかけて焼きあげば、在京人六波羅の武士、「あはや事いできたり」とて、馳せむかはんずらん。其時岩坂、桜本にひッかけ、ひッかけ、しばしささへて戦かはんまに、大手は伊豆守を大将軍にて、悪僧ども六波羅に押しよせ、風うへに火かけ、一もみ、もうで攻めんに、などか太政入道焼き出いて討たざるべき」とぞ僉議しける。


其のなかに、平家の祈りしける一如房の阿闍梨真海、弟子同宿数十人ひき具し、僉議の庭に進み出でて申しけるは、「かう申せば平家の方人とやおぼしめされ候ふらん。たとひさも候へ、いかが衆徒の儀をもやぶり、我等の名をも惜しまでは候ふべき。昔は源平左右に争そひて、朝家の御まぼりたりしかども、ちかごろは源氏の運かたぶき、平家世をとッて廿余年、天下になびかぬ草木も候はず。内々の館のありさまも、小勢にてはたやすう攻め落しがたし。さればよくよく外にはかり事をめぐらして、勢をもよほし、後日に寄せさせ給ふべうや候ふらん」と、程をのばさんがために、ながながとぞ僉議したる。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

------------------------------------------------------------------------------------
【アイテム紹介】「平家物語」では延暦寺などの寺社勢力が、朝廷そして平家を大変に苦しめていますが、この「寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 」からは、この時代においていかに寺社勢力がいかに強大かつ重要な存在であったかについて学ぶことができます。学校では教わることのない「歴史の深層」に迫ることのできる本です。「平家物語」の正しい理解のためにも必読の一冊だと思います。



タイトルor画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)


------------------------------------------------------------------------------------

〈現代語訳〉


三井寺では僧達が出て来て議論をする。「延暦寺は心変わりをした。興福寺はまだ参らない。この事が後にのびてはきっと良くないだろう。さあ六波羅へ攻め寄せて、夜討ちをかけけよう。そういうことであるなら、老いた者、若い者で二手に分かれて、老僧たちは如意が峯から、背後から攻撃する側にむかうべきだ。足軽たちが四、五百人で先発して白河の民家に火をかけて焼き上げたならば、都にいる武士や、六波羅の武士が、『ああ何かが起こった』とそちらに馳せむかうだろう。その時に岩坂や桜本で馬をかけって攻めかかり戦う間に、正面から伊豆守仲綱を大将軍にたて、僧兵たちが六波羅に攻め寄せて、風上に火を放って、激しく攻めたなら、どうして清盛入道を焼き出して討てないことがあろうか、いや討てる。」と議論した。

この会議の中に、平家のために祈祷などを行ったこともある一如房(いちにょぼう)の阿闍梨真海というものが、弟子や同僚を数十人引き連れて、議論の場に進み出て申したことには、「このように申し上げると平家の味方をするのかとお思いになるでしょう。たとえそうであっても、どうして衆徒としての道義を破ったり、我らの名前も惜しまないでいられましょう。昔は源氏も平氏も左右に並んで争って朝廷の守りをしたが、最近は源氏の運が傾いて、平家が世の権力を握って二十年余り、天下になびかない草木もございません。六波羅の屋敷の中の様子も少々の勢力ではたやすく攻め落としづらくございます。そうであるので、よくよく他の計画を考えて、軍勢を呼び集めて、後日に攻め寄せなさるべきでございましょう。」と、時間を延ばすためにながながと議論した。




posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする