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2011年07月28日

10分でわかる「平家物語」巻四「橋合戦」(平家を相手に戦う以仁王陣営)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


都合其勢二万八千余騎、木幡山うち越えて、宇治橋のつめにぞおし寄せたる。かたき平等院にと見てんげれば、時をつくる事三ケ度、宮の御方にも時の声をぞ合はせたる。先陣が、「橋をひいたぞ、あやまちすな。橋をひいたぞ、あやまちすな」と、どよみけれども、後陣はこれを聞きつけず、我さきにと進むほどに、先陣二百余騎押し落され、水におぼれてながれけり。橋の両方のつめにうッたッて矢合わせす。宮の御方には、大矢の俊長、五智院の但馬、渡辺の省・授・続の源太が射ける矢ぞ、鎧もかけず、楯もたまらず通りける。


源三位入道は、長絹のよろひ直垂にしながはおどしの鎧也。其日を最後とや思はれけん、わざと甲は着給はず。嫡子伊豆守仲綱は、赤地の錦の直垂に、黒糸威の鎧也。弓を強う引かんとて、これも甲は着ざりけり。


ここに五智院の但馬、大長刀のさやを外いて、只一騎橋の上にぞ進んだる。平家の方にはこれをみて、「あれ射とれや物ども」とて、究竟の弓の上手どもが矢先をそろへて、差し詰め引き詰めさんざんに射る。但馬少しも騒がず、上る矢をばつい潛り、下る矢をば躍り越え、向ッてくるをば長刀で斬ッて落す。かたきもみかたも見物す。それよりしてこそ、矢ぎりの但馬とはいはれけれ。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


平家の軍勢は都合2万8千騎あまり。木幡山を越えて、宇治橋のたもとへ押し寄せた。「敵は平等院に籠っているようだ」と見て取って、闘いにむけて声をあげること三度、以仁王側でも声を闘いにむけて声を合わせた。先陣が「宇治橋の橋板が外されたぞ、外されたぞ、気をつけろ。」と大声をあげたが、平家の後陣はこれを聞きつけないで、我れ先にと進んでいる間に、先陣が二百騎ほど川へと押し落とされ、水に溺れて流されてしまった。橋の両側のたもとに立って互いに矢を射かける。高倉宮以仁王側では大矢の俊長、五智院の但馬、渡辺の省(はぶく)・授(さずく)・続(つづく)の源太が射った矢は、平家側の鎧にも負けず、盾に阻まれることもなく貫通した。


源頼政入道は絹で織った鎧直垂を身につけて、しながわおどしの鎧である。その日を最後の闘いと思われたのだろうか、わざと甲を身につけなさらなかった。嫡子である伊豆守仲綱は、赤い地の錦の直垂に、黒糸威(くろいとおどし)の鎧である。弓を強く引こうと仲綱も甲を身につけ無かった。


ここに五智院の但馬は、大長刀のさやを外して、ただ一騎で橋の上へとすすんだ。平家の方ではこの様子を見て「あの者を打ち取れ、者ども!」と究竟の弓の名手たちが矢先を揃えて、矢をつがえては放ち、つがえては放ってさんざんに射った。但馬は少しも騒ぐ事無く、上ってくるやをくぐり、下がってくる矢を飛び越えて、向かってくる矢を長刀で切って落とした。敵も味方もこれを見物した。それ以来、彼は「矢切の但馬」と呼ばれた。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする