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2011年10月06日

10分でわかる「平家物語」巻五「文覚荒行」(那智の滝に打たれて荒行を行う文覚)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


熊野へ参り、那智ごもりせんとしけるが、行の心みに、聞ゆる滝にしばらく打たれてみんとて、滝もとへぞ参りける。比は十二月十日あまりの事なれば、雪降り積り、つららゐて、谷の小河も音もせず。嶺の嵐吹き凍り、滝の白糸垂氷となり、みな白妙にをしなべて、よもの梢も見えわかず。しかるに、文覚滝つぼに下りひたり、頸ぎはつかッて、慈救の呪を満てンけるが、二三日こそありけれ、四五日にもなりければ、こらへずして文覚浮きあがりにけり。数千丈みなぎりおつる滝なれば、なじかはたまるべき。ざッとおし落とされて、刀の刃のごとくに、さしもきびしき岩かどのなかを、浮きぬしづみぬ五六町こそ流れたれ。


時にうつくしげなる童子一人来たッて、文覚が左右の手をとッて引き上げ給ふ。人奇特の思ひをなし、火を焚きあぶりなどしければ、定業ならぬ命ではあり、ほどなく生き出でにけり。文覚少し人心地いで来て、大のまなこを見怒らかし、「われ此滝に三七日打たれて、慈救の三洛叉を満てうど思ふ大願あり。けふはわづかに五日になる。七日だにも過ぎざるに、何者かここへは取ってきたるぞ」といひければ、見る人身の毛よだッてものいはず。又滝つぼに帰りたッて打たれけり。


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〈現代語訳〉


熊野へ参って、那智にこもることをしようとしたが、修行の試みとして、有名な滝に打たれてみようと、滝の下へと参った。季節は12月10日過ぎのことであるので雪が降り積もって、氷が張っていて谷の小川も音をたてない。峰の嵐が吹いて氷のように冷たく、白い糸のような滝の水は、つららとなり、みな真っ白に押し並べて、四方の木の枝も見分けがつかない。しかしそれでも、文覚は滝壺に下りて、水に浸って、首ぎわまで浸かって、慈救(じく)の呪(じゅ)を願った回数に到達するまで唱えようとしたが、二三日は良かったが、四五日にもなると、こらえ切れずに文覚は浮き上がってしまった。数千丈の高さからみなぎり落ちてくる滝なので、どうしてとどまることができるだろう。ざっと押し流されて、刀の刃のように、険しい岩かどの中を、浮いたり沈んだりしながら五六町も流された。


その時、可愛らしい童子が一人やってきて、文覚の手を取って引き上げなさる。周りの人々は不思議に思って、火を焚いてあぶりなどしたので、ここで死ぬ運命が定まっている命ではないので、間もなく蘇生した。文覚は、少し意識が戻って来て、大きな目を開いて怒りを露わにして「私はこの滝に21日間打たれて、不動明王の陀羅尼を30万回唱えることを満たそうと思う大きな願いがある。今日はまだわずかに5日目である。7日さえ過ぎていないのに、何者が私をここに連れて来たのだ。」と言ったので、見る人々は身の毛がよだってものを言うこともできない。また滝壺に帰って滝に打たれた。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする