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2011年10月13日

10分でわかる「平家物語」巻五「文覚荒行その2」(荒行を見事に成し遂げた文覚)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


第二日といふに、八人の童子来たッて、引きあげんとし給へども、散々につかみあふて上がらず。三日といふに、文覚つゐにはかなくなりにけり。滝つぼをけがさじとや、みづら結うたる天童二人、滝の上よりおりくだり、文覚が頂上より手足のつまさき・たなうらにいたるまで、よにあたたかにかうばしき御手をもッて、撫でくだし給ふとおぼえければ、夢の心地して生きいでぬ。


「そもそもいかなる人にてましませば、かうはあはれみ給ふらん」と問ひ奉る。「われはこれ大聖不動明王の御使に、こんがら・せいたかといふ二童子なり。「文覚無上の願をおこして、勇猛の行を企つ。ゆいて力をあはすべし」と明王の勅によッて来たれる也」とこたへ給ふ。文覚声をいからかして、「さて明王はいづくにましますぞ」。「都率天に」とこたへて、雲井はるかに上がり給ひぬ。たな心をあはせてこれを拝し奉る。「されば、わが行をば大聖不動明王までもしろしめされたるにこそ」と頼もしうおぼえて、猶滝にかへりたッて打たれけり。まことにめでたき瑞相どもありければ、吹くる風も身にしまず、落ちくる水も湯のごとし。



平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


文覚が再び滝に打たれてから2日目のことだが、8人の童子がやって来て、文覚を滝つぼから引き上げようとしたが、文覚と童子は散々につかみあったが、文覚は上がろうとしない。三日が経過し、文覚はとうとう息絶えてしまった。滝壺をけがすまいということだろうか、髪を束ねた童が二人、滝の上からおり下って、文覚の頭のてっぺんから、手足のつま先、手のひらの裏にいたるまで、まことに暖かくかぐわしい手でもって、天の童たちが撫でくだしなさると感じて、夢のような心地がして、文覚は蘇った。


「そもそもどのような人でいらっしゃれば、このように私を憐れみなさるのだろう」と問い申し上げる。「私たちは、不動明王のお使いで、こんがら、せいたかという二人の童子である。『文覚はこの上もない願を起こして、勇ましく荒々しい修行を企てている。行って力を貸すがよい』と不動明王の命令によって来たのだ。」と童子たちは答えなさる。文覚は声を荒々しくして「それでは不動明王はどこにいらっしゃるのだ。」(童子たちは)「都率天に」と答えて、雲の上はるかにのぼりなさった。文覚は両手の手のひらを合わせて拝み申し上げた。「ということは私の修行を不動明王もご存じだということであろう」と文覚は頼もしく思って、また滝へと戻って打たれた。本当に素晴らしい兆しがあったので、吹く風も身にしみることはなく、落ちて来る水もお湯のようだった。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする