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2011年10月27日

10分でわかる「平家物語」巻五「文覚被流」(結局投獄された文覚)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


信濃国の住人安藤武者右宗、其比当職の武者所で有りけるが、「何事ぞ」とて、太刀をぬいて走りいでたり。文覚よろこンでかかる所を、斬ッてはあしかりなんとや思ひけん、太刀のみねをとり直し、文覚が刀もッたるかいなをしたたかにうつ。打たれてちッとひるむところに、太刀をすてて、「得たりおう」とて組んだりけり。組まれながら文覚、安藤武者が右のかいなを突く。突かれながらしめたりけり。互におとらぬ大ぢからなりければ、上になり下になり、ころびあふところに、かしこがほに上下寄ッて、文覚がはたらくところのぢやうをがうしてンげり。されどもこれを事ともせず、いよいよ悪口放言す。


門外へ引きいだて、庁の下部にたぶ。給はッてひつぱる。ひッぱられて、立ちながら御所の方をにらまへ、大音声をあげて、「奉加をこそし給はざらめ、これ程文覚にからい目を見せ給ひつれば、思ひしらせ申さんずる物を。三界は皆火宅なり。王宮といふとも、其難を逃るべからず。十善の帝位にほこつたうとも、黄泉の旅にいでなん後は、牛頭・馬頭のせ責めをばま免かれ給はじ物を」と、おどりあがり、おどりあがりぞ申しける。「此法師奇怪なり」とて、やがて獄定せられけり。


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〈現代語訳〉


信濃国の住人、安藤武者右宗は、そのころ、現職の武者どころに詰めていた者だったが、「何事だ」といって、太刀を抜いて走り出て来た。文覚がよろこんで挑みかかってくるところを、右宗は、斬っては悪いだろうと思ったのか、太刀のみねを持ち直して、文覚が刀を持つ腕をしたたかに打った。文覚が打たれて少しひるんだところで、右宗は太刀を捨てて、してやったぞ、と組み合った。組まれながら文覚は、安藤右宗の右腕を突いた。右宗は腕を突かれながらも、文覚を締め付けた。互いに劣らない怪力だったので、上になったり下になったりしながら、転びあったところに、得意顔で院に仕える身分の高いものや低いものたちが、文覚の身体の動く範囲をひととおり打って痛めつけた。しかしながら文覚はこれを物ともせず、ますます悪口を言い放った。


右宗は文覚を門の外へ引き出して、検非違使庁の下級の役人に引き渡した。しもべは文覚を引き渡されて連行していく。文覚は連行されながら、立ったまま御所の方をにらんで、大声をあげて「寄進をなさらないのはともかくとして、これほどに私文覚をひどい目に会わせなったからには、思い知らせ申しあげることになるだろうに。この世界は全て火事にあった家のようなものだ。王宮にいたとしても、その苦難を逃れることはできない。帝の位について誇らしそうにしていても、死後の国への旅に出た後は、地獄の獄卒たちの責めからは逃れられなさらないだろうに。」と、踊りあがるようにして怒りをあらわにしながら文覚は申した。この法師はけしからん奴だということで、文覚はそのまま投獄されてしまった。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする