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2011年11月10日

10分でわかる「平家物語」巻五「福原院宣」その2(文覚にうながされ挙兵を決めた源頼朝)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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「そもそも頼朝勅勘をゆりずしては、争か謀反をばおこすべき」とのたまへば、「それやすい事、やがてのぼッて申しゆるいて奉らん」。「さもさうず、御房も勅勘の身で人を申しゆるさうどのたまふ、あてがひやうこそ、大きにまことしからね」。「わが身の勅勘をゆりうど申さばこそひが事ならめ。わとのの事申さうは、なにか苦しかるべき。いまの都福原の新都へのぼらうに、三日にすぐまじ。院宣うかがはうに一日が逗留ぞあらんずる。都合七日八日には過ぐべからず」とて、つき出でぬ。


奈古屋にかへッて、弟子どもには、伊豆の御山に人に忍んで七日参籠の心ざしありとて、いでにけり。げにも三日といふに、福原の新都へのぼりつつ前右兵衛督光能卿のもとに、いささかゆかりありければ、それにゆいて、「伊豆国流人、前兵衛佐頼朝こそ勅勘を許されて院宣をだにも給はらば、八ケ国の家人ども催しあつめて、平家をほろぼし、天下をしづめんと申し候へ」。兵衛督「いさとよ、わが身も当時は三官ともにとどめられて、心ぐるしい折節なり。法皇も押しこめられてわたらせ給へば、いかがあらんずらん。さりながらもうかがうてこそ見め」とて、此由ひそかに奏せられければ、法皇やがて院宣をこそ下されけれ。聖これをくびにかけ、又三日といふに、伊豆国へくだりつく。


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〈現代語訳〉


「そもそも私頼朝は天皇からお許しがなくてはどうして謀反を起こすことができようか」とおっしゃるので、(文覚)「それは簡単なことだ。私がすぐに上京して申し上げて許しを頂こう。」(頼朝)「そのようなことはできないでしょう。あなた自身が朝廷からお咎めを受けた身で、人の許しを申し出ようなどとおっしゃる、そのような調子のいいことがまさか本当とは思えない。」(文覚)「私自身の赦免を申し上げるなら、それは間違ったことであろうが、あなたの事を申し上げるのに、何か苦しいことがあろうか。問題はない。今の都である福原の新都にのぼるには三日もかからないだろう。後白河院の院宣を伺うのに一日の滞在をするだろう。合わせて七日八日を過ぎることはないはずだ。」といって急いで出発した。

なごやにかえって弟子たちに、「伊豆のお山にひっそりと七日間籠るつもりだ。」といって出て行った。本当に言った通りに三日で、福原の都にのぼりながら、前右兵衛督光能卿のもとに、少し縁があったので、文覚は光能のもとにいって、「伊豆の国の流人であるが、朝廷から許され、せめて院宣だけでも頂けるなら、関東八カ国の武士たちを集めて、平家を滅ぼして、天下をしずめようと申しております。」兵衛のかみは「さあどうしようか、私も今、三つの官職をいっしょに外されて、苦しい時期なのだ。法皇も幽閉されていらっしゃるので、どうしようか。そうではあるが伺ってみよう。」と、この旨をひそかに後白河院に申し上げたところ、後白河法皇はすぐに院宣をくだされた。文覚はこれをくびにかけて、さらに三日後、伊豆の国にくだりついた。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする