「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2011年12月01日

10分でわかる「平家物語」巻五「五節之沙汰」(逃げてしまった平家の武士たちに対する人々の反応)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


平家の方には音もせず、人をつかはして見せければ、「みな落ちて候ふ」と申す。或はかたきのわすれたる鎧とッて参りたる物もあり、或はかたきの捨てたる大幕とッて参りたるものもあり。「敵の陣には蝿だにもかけり候はず」と申す。兵衛佐、馬よりおり、甲をぬぎ、手水うがいをして、王城の方を伏し拝み、「これはまッたく頼朝がわたくしの高名にあらず、八幡大菩薩の御ぱからひなり」とぞのたまひける。やがて打ッ取る所なればとて、駿河国をば一条次郎忠頼、遠江をば安田三郎義定にあづけらる。平家をばつづいても攻むべけれども、後ろもさすがおぼつかなしとて、浮島が原より引きしりぞき、相模国へぞ帰られける。


海道宿々の遊君遊女ども「あないまいまし。打手の大将軍の矢一つだにも射ずして、逃げのぼり給ふうたてしさよ。いくさには見逃げといふ事をだに、心うき事にこそするに、これは聞き逃げし給ひたり」と笑ひあへり。落書ども多かりけり。都の大将軍をば宗盛といひ、討手の大将をば権亮といふ間、平家をひら屋によみなして、


ひらやなる宗盛いかに騒ぐらん柱と頼むすけをおとして


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〈現代語訳〉


平家の陣営からは物音もしない。人を送って確認させると、「みな逃げ延びております。」と申した。ある者は敵が忘れた鎧を取ってくるものもいた。ある者は敵の捨てた大幕をとってくるものもいた。「敵の陣には蝿いっぴきでさえ飛んで飛んでおりません。」と申し上げる。頼朝は馬から下りて、かぶとを脱いで、手を洗って、口を清めて、帝のいる都の方に臥して拝んで「これはまったく私頼朝の手柄ではなく八幡大菩薩の取り計らいによるものだ。」とおっしゃった。すぐに打ち取るところであるからといって、駿河の国を一条次郎忠頼に、遠江の国を安田三郎義定に預けなさった。このまま平家を続けて攻めるべきではあるが、背後の情勢も、そうはいってもやはり気がかりだということで、浮き島が原から、退却して、相模の国へお帰りになった。


東海道の宿場の遊女たちは、「ああ、ひどいことよ。攻撃にいった大将軍が矢のひとつさえも、うたないで、都へ逃げ帰った情けなさよ。いくさでは敵を見て逃げることでさえ情けないこととするのに、平家は聞き逃げをなさった。」と笑い合った。落書きなども多かった。都にいる大将軍を「むねもり」といい、攻めにいった大将を「ごんのすけ」といったので、「へいけ」を「ひらや」とわざわざ読んでこんな歌を作った。


「ひらやにいる むねもりは どんなに騒いでいるだろう 柱としてあてにしている すけ(支柱)を落として」
(平宗盛はどんなに騒いでいるだろう、頼りにしていた維盛が落ちのびてしまって)

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする