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2011年12月15日

10分でわかる「平家物語」巻五「奈良炎上」(瀬尾太郎兼康が五百余騎で興福寺へと出発)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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都には又「高倉宮園城寺へ入御の時、南都の大衆同心して、あまッさへ御むかへに参る条、これもッて朝敵なり。されば南都をも三井寺をも攻めらるべし」といふ程こそありけれ、奈良の大衆おびたたしく蜂起す。


摂政殿より「存知の旨あらば、いくたびも奏聞にこそ及ばめ」と仰せ下されけれども、一切用ゐ奉らず。有官の別当忠成を御使に下されたりければ、「しや乗り物よりとッて引きおとせ。もとどりきれ」と騒動する間、忠成色をうしなッて逃げのぼる。


つぎに右衛門佐親雅を下さる。これをも「もとどりきれ」と大衆ひしめきければ、とる物もとりあへずにげのぼる。其時は勧学院の雑色二人がもとどりきられにけり。


又南都には大なる球丁の玉をつくて、これは平相国のかうべとなづけて、「うて」「ふめ」などぞ申しける。「詞の漏らしやすきは、災ひをまねく媒なり。事のつつしまざるは、やぶれをとる道なり」といへり。この入道相国と申すは、かけまくもかたじけなく当今の外祖にておはします。それをかやうに申しける南都の大衆、凡は天魔の所為とぞ見えたりける。


入道相国かやうの事ども伝へきき給ひて、いかでかよしと思はるべき。かつがつ南都の狼籍をしづめんとて、備中国住人瀬尾太郎兼康、大和国の検非所に補せらる。兼康五百余騎で南都へ発向す。


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〈現代語訳〉


都では、「高倉の宮、以仁王が園城寺にお入りになった時に、奈良の大衆たちが心を同じくして、その上迎えに参ろうとまでもしたことは、これをもって朝廷の敵であると言える。従って興福寺も三井寺も攻められるべきだ。」といっているうちはまだよいが、すぐに奈良興福寺の大衆がおびただしく蜂起した。摂政藤原基通殿から「お考えのことがあれば、いくらでも法皇に私からお伝えしよう。」と言葉を下したが、興福寺は全く聞き入れ申し上げない。勧学院の政所の長官であった別当ただなりを興福寺に使者として下しなさったところ、「やつを乗り物から引きずり落とせ。もとどりを切ってしまえ。」と騒動になったので、ただなりは顔色を変えて都へ帰った。


次に右衛門のすけ、ちかまさをお下しになった。これも「もとどりを切れ」と興福寺の大衆がひしめきあったので、取るものも取らずに都に逃げ帰った。その時は勧学院の雑色が二人、もとどりを切られてしまった。


また興福寺では大きなぎっちょうの玉を作って、これは平清盛の頭と名付けて、「打て」「踏め」などと申した。言葉は外に漏れやすいもので、災いを招く仲立ちである。ことを慎まないことは、敗北を取る道である。この入道相国と申す人は、口に出して言うのももったいない今上天皇の外祖父でいらっしゃる。その清盛を打てなどと申した興福寺の大衆のふるまいはだいたい、悪魔のしわざだと見えた。


清盛入道はこのようなことを伝え聞きなさって、どうしてよいとお思いになるだろうか。早速、興福寺の無法を取り締まろうとして、備中の国の住人、瀬尾太郎兼康を大和国の検非所(けんびじょ)に任命しなさった。兼康は五百余騎で興福寺へと出発した。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする