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2012年03月01日

10分でわかる「平家物語」巻六「入道死去」(熱病におかされ、地獄の炎に焼かれるような苦しみを味わう清盛)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


同廿七日、前右大将宗盛卿、源氏追討の為に、東国へ既に門出ときこえしが、入道相国違例の御心地とてとどまり給ひぬ。明る廿八日より、重病をうけ給へりとて、京中・六波羅「すは、しつる事を」とぞささやきける。入道相国、病ひつき給ひし日よりして、水をだにのどへも入れ給はず。身の内のあつき事、火をたくが如し。ふし給へる所、四五間が内へ入るものは、あつさたへがたし。ただ宣ふ事とては、「あたあた」とばかり也。少しもただ事とは見えざりけり。


比叡山より千手井の水をくみくだし、石の舟にたたへて、それにおりてひえ給へば、水、おびたたしくわき上がッて、程なく湯にぞなりにける。もしやたすかり給ふと、筧の水を任せたれば、石やくろがねなンどの焼けたるやうに、水ほどばしッて寄りつかず。をのづからあたる水はほむらとなッて燃えければ、くろけぶり殿中にみちみちて、炎うずまひて上がりけり。


是や昔法蔵僧都といッし人、閻王の請におもむひて、母の生所を尋ねしに、閻王あはれみ給ひて、獄卒をあひそへて焦熱地獄へつかはさる。くろがねの門の内へさし入れば、流星なンどの如くに、炎、空へたち上がり、多百由旬に及びけんも、今こそ思ひ知られけれ。


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〈現代語訳〉


同じく2月27日、前の右大将である平宗盛卿が、源氏を討つために東国へまさに出発するとうわさがあったが、清盛入道の調子がすぐれないということで出陣は中止となった。明けて28日から、清盛入道が重病になりなさったということで、都中、六波羅でも「それ見た事か」と人々がささやきあった。清盛入道は、病になりなさった日から、水さえノドに入れなさらない。身体の中が熱いことは、あたかも火をたいたようだ。清盛入道が臥していなさるところの周囲4、5間に入るものは、熱さが堪え難い。ただ清盛入道がおっしゃることは「熱い、熱い」ということだけである。全く普通の病気であるとは見えなかった。


比叡山から千手井という井戸の水を汲んでもってきて、石の水槽にためて、清盛入道がそこにつかりなさったところ、水が激しく沸き上がってすぐにお湯になってしまった。もしや少しでも苦痛を和らげる助けになるかと、かけいから水を引き浴びせると、石や鉄を熱した時のように水がほとばしって寄り付かない。まれに身体に当たる水は炎となって燃えたので、黒い煙が屋敷中に充満して、炎がうずを巻いてのぼった。


これは昔、法蔵僧都といった人が、閻魔大王の招待で地獄におもむき、亡くなった母が輪廻転生したところはどこかと問うたが、閻魔大王がその親想いの気持ちを憐れんで、獄卒を連れて母のいる焦熱地獄へ遣わされた。流星のように炎が空へとのぼって、ものすごい高さにまで及んでいたということも、今、思い出される。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする