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2012年03月15日

10分でわかる「平家物語」巻六「祇園女御」(忠盛が、白河院から、祇園女御を頂くいきさつ)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


又ある人の申しけるは、清盛は忠盛が子にはあらず、まことには白河院の皇子なり。その故は、去る永久の比ほひ、祇園女御と聞こえしさいはひ人おはしける。件の女房のすまひ所は、東山の麓、祇園のほとりにてぞありける。白河院つねは御幸なりけり。ある時殿上人一両人、北面少々召し具して、しのびの御幸ありしに、比は五月廿日あまりのまだ宵の事なれば、目ざすともしらぬ闇ではあり、五月雨さへかきくらし、まことにいぶせかりけるに、件の女房の宿所ちかく御堂あり。御堂のかたはらにひかりものいできたり。頭は銀の針をみがきたてたるやうにきらめき、左右の手とおぼしきをさしあげたるが、片手には槌のやうなるものをもち、片手にはひかるものをぞ持ッたりける。


君も臣も「あな恐ろし。是はまことの鬼とおぼゆる。手に持てる物はきこゆる打出の小槌なるべし。いかがせん」とさわがせおはしますところに、忠盛其比はいまだ北面の下臈で供奉したりけるを召して、「此中にはなんぢぞあるらん。あのもの射も殺し、斬りもとどめなんや」と仰せければ、忠盛かしこまり承ッてゆきむかふ。内々おもひけるは、「此もの、さしもたけき物とは見ず。狐・狸などにてぞあるらん。是を射殺し、斬りも殺したらんは、無下に念なかるべし。生捕りにせん」とおもッて歩みよる。とばかりあッてはさッとひかり、とばかりあッてはさッとひかり、二三度しけるを、忠盛走り寄ッて、むずとくむ。くまれて、「こはいかに」と騒ぐ。変化のものにてはなかりけり。はや人にてぞありける。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


清盛は忠盛の子ではない。本当は白河院の皇子である。その事情は、去る永久の頃、祇園女御と申し上げた白河院お気にいりの人がいた。その女房の住むところは、東山のふもとの祇園のあたりであった。白河院は祇園女御のもとに、いつもお出ましになった。ある時、殿上人を二、三人と北面の武士を何名かつれて、おしのびで祇園へのお出ましがあったが、時期は5月20日過ぎの、まだ夜も早いころだったので、目先のおぼつかない闇であり、五月雨までも降って辺りを暗くして、本当にうっとうしく不気味な感じだったが、その女房の住居の近くにはお堂があった。お堂の側で何か光る物が現れ出た。頭は銀の針を磨き立てたようにかがやいて、左右の手と思われるものを上にあげたのだが、片手にはつちのようなものをもって、片手に光るものを持っていた。


院も家臣たちも「ああ恐ろしい、これは本当の鬼だと思われる。手に持っているものはうわさに聞くうちでのこづちであるだろう。どうしよう。」と騒ぎなさったところ、平忠盛はそのころまだ北面の下級の武士でお供申し上げていたのだが、その忠盛をお呼びになって、「この中ではお前が勝れているだろう。あのものを射殺すか、切って防ぐことができるだろうか。」とおっしゃったので、忠盛はかしこまってその任務を承ってゆきむかった。(忠盛が)内心思ったことには、「このものはそれほど強いものとは見えない。キツネやタヌキなどであるだろう。これを弓で射殺したり、斬り殺したらとても残念なことになるだろう。生け捕りにしよう。」と思って歩みよった。しばらく間を置いて、さっと光り、しばらく間をおいてさっと光り、二三度繰り返したところ、忠盛は走りよってむんずと組んだ。組まれてその者は「これはどうしたことか。」と騒いだ。妖怪などの類いではなかった。実は人間であった。

posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする