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2012年04月19日

10分でわかる「平家物語」巻七「火打合戦」(平家が木曽陣営の「火打が城」を打ち破る)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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城の内にありける平泉寺の長吏斎明威儀師、平家に志ふかかりければ、山の根をまはッて、消息を書き、ひき目のなかに入れて、忍びやかに平家の陣へぞ射入れたる。「彼水うみは往古の淵にあらず。一旦山河をせきあげて候ふ。夜に入足がろ共をつかはして、しがらみをきりおとさせ給へ。水は程なくおつべし。馬の足ききよい所で候へば、いそぎわたさせ給へ。うしろ矢は射て参らせむ。是は平泉寺の長吏斎明威儀師が申状」とぞ書いたりける。


大将軍、大いに悦び、やがて足がる共をつかはして柵をきり落す。おびたたしう見えつれども、げにも山川なれば水は程なく落ちにけり。平家の大勢、しばしの遅々にも及ばず、ざッとわたす。城の内の兵共、しばしささへてふせぎけれども、敵は大勢也、みかたは無勢也なりければ、かなふべしとも見えざりけり。平泉寺長吏斎明威儀師、平家について忠をいたす。稲津新介・斎藤太・林六郎光明・富樫入道仏誓、ここをば落ちて、猶平家をそむき、加賀の国へ引き退き、白山河内にひッこもる。平家やがて加賀に打ち越えて、林・富樫が城郭二ケ所焼きはらふ。なに面をむかふべしとも見えざりけり。ちかき宿々より飛脚をたてて、此由、都へ申したりければ、大臣殿以下残りとどまり給ふ一門の人々いさみ悦ぶ事なのめならず。


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〈現代語訳〉


城の中にいた平泉寺の長吏である斎明威儀師(さいめい・いぎし)は、平家への想いが深かったので、山のふもとをまわって、手紙を書いて、矢尻の空洞に入れて、ひそかに平家の陣に射っていれた。「あの湖はもとからあった淵ではない。いっとき、川をせきとめたものです。夜に入ってから、足軽たちを遣わして、柵を切り落とさせなされ。水は間もなく流れ出すだろう。馬を自在に乗りこなせるところですので、急いで渡ってください。後ろの方から矢をうち申し上げましょう。是れは平泉寺の長吏である斎明威儀師からの申し状である。」と書いてあった。


平家の大将軍らは多いに喜んで、すぐに足軽たちをやって柵を切り落とした。湖の水はおびただしい量に見えていたが、実際は川をせきとめたものであったので、水はすぐに流れ出た。平家の軍勢は、すこしの遅れもなく、いっきに渡った。城の中の武士達はしばらくは持ちこたえて防御したが、敵は多く、味方はほとんどいなかったので、対抗できるとは思えなかった。平泉寺の長吏である斎明威儀師は平家に忠義をつくした。稲津新介(いなづのしんすけ)・斎藤太(さいとうだ)・林六郎光明(はやしのろくろう・みつあきら)・富樫入道仏誓(とがしのにゅうどう・ぶつせい)らは、この城から落ちのびて、依然として平家に背いて、加賀の国へと退却して、白山や河内にひきこもった。平家はすぐに加賀の国へと攻め入って、林と富樫の城を二箇所焼き払った。何者も平家に対抗できるように見えなかった。近隣の宿場からそれぞれ飛脚をたてて、この旨を都に申したところ、大臣以下の都に残りなさっていた平家一門の人々が勇んで喜ぶことはなみなみでなかった。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする