「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2012年05月03日

10分でわかる「平家物語」巻七「倶梨迦藍落」(無惨にも平家は大敗北)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)



次第に暗うなりければ、北南よりまはッつる搦手の勢一万余騎、倶梨迦羅の堂の辺にまはりあひ、えびらの方立て打ちたたき、時をどッとぞつくりける。平家うしろをかへり見ければ、白旗、雲のごとくさしあげたり。「此山は四方巖石であんなれば、搦手よもまはらじと思ひつるに、こはいかに」とて騒ぎあへり。


さる程に、木曾殿大手より時の声をぞあはせ給ふ。松長の柳原、ぐみの木林に一万余騎ひかへたりける勢も、今井四郎が六千余騎で日宮林にありけるも、同じく時をぞつくりける。前後四万騎がをめく声、山も川もただ一度にくづるるとこそ聞えけれ。案のごとく、平家、次第に暗うはなる、前後より敵はせめ来る、「きたなしや、かへせかへせ」といふやから多かりけれども、大勢の傾きたちぬるは、左右なうとッてかへす事かたければ、倶梨迦羅が谷へわれ先にとぞおとしける。まッさきにすすんだる者が見えねば、「此谷の底に道のあるにこそ」とて、親おとせば、子もおとし、兄おとせば弟もつづく。主おとせば家子郎等落しけり。馬には人、人には馬、落ちかさなり落ちかさなり、さばかり深き谷一つを平家の勢七万余騎でぞうめたりける。巖泉血をながし、死骸岳をなせり。されば其谷のほとりには、矢の穴、刀の疵残ッて今にありとぞ承る。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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【アイテム紹介】「平家物語」には数多くの異本(バージョン違い)があります。この場面は「源平盛衰記」では牛の角にたいまつを灯して攻撃に使ったとの旨が書かれています。同じ場面を異本で読み比べることで、新たな発見を得ることができるのも「平家物語」の面白いところです。こちらは現代語訳版です。

タイトルor画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
完訳源平盛衰記








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〈現代語訳〉


次第に暗くなったので、北と南からそれぞれまわっていた搦手の軍勢1万騎が、倶利伽藍峠の不動明王の堂の辺りに、ともにまわって、えびらのほうだてを叩いて、どっと閧の声をあげた。平家がうしろを振り返ってみると、源氏が白い旗を、雲のようにさしあげていた。「この山は四方が岸壁であるそうなので、後方へはまさか回らないだろうと思ったのに、これはどうしたことだ。」と騒ぎあった。


その間に、義仲は正面から閧の声を合わせてあげた。松長の柳原や、ぐみの林に1万騎控えていた軍勢も、同じように閧の声をあげた。前後の合わせて4万騎の叫び声は、山も川も一瞬で崩れるように響いた。計画の通りに、平家は、次第に辺りは暗くなるは、前後から敵が攻めてくるはで、「見苦しいぞ、もどれもどれ」と言うものも多かったが、大軍の隊列が崩れてしまったので、容易には立て直すことはできないので、倶利伽藍の谷へと、我れ先にと馬を下らせていった。まっさきに進んだ者の姿が見えないので、「この谷の底に道があるのだろう」と、親が馬を下らせると、子も馬を下らせ、兄が下らせると、弟も下らせて、主人が馬を下らせると、家の子や郎等もしたがった。馬には人が、人には馬が落ち重なって、あれほど深い谷じゅうを平家の軍勢7万騎でうめつくした。谷川からは血が流れ、死骸が丘を作った。そして、その谷のほとりには、矢の穴や、刀の傷が残って今でもあると承っている。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする