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2012年05月10日

10分でわかる「平家物語」巻七「篠原合戦」(斎藤実盛が平家に味方する武士達の覚悟を試す)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


一とせ石橋の合戦の時、兵衛佐殿射奉ッし者ども都へにげのぼッて、平家の方にぞ候ひける。むねとの者には俣野五郎景久・長井斎藤別当実盛・伊東九郎祐氏・浮巣三郎重親・真下四郎重直、是等はしばらくいくさのあらんまでやすまんとて、日ごとによりあひよりあひ、巡酒をしてぞなぐさみける。まづ実盛が許によりあひたりける時、斎藤別当申しけるは、「つらつら此の世の中の有様を見るに、源氏の御方はつよく、平家の御方はまけ色に見えさせ給ひけり。いざ各々、木曾殿へ参らう」ど申しければ、みな「さンなう」と同じけり。


次日又浮巣三郎が許によりあひたりける時、斎藤別当「さても昨日申し事はいかに、各々。」そのなかに俣野五郎すすみ出て申しけるは、「我等はさすが東国では皆人にしられて名ある者でこそあれ、吉についてあなたへ参り、こなたへ参らう事も見苦しかるべし。人をば知り参らせず、景久にをいては平家の御方にていかにもならう」ど申ければ、斎藤別当あざわらッて、「まことには、各々の御心どもをかなびき奉らんとてこそ申したれ。其上実盛は今度のいくさに討死せうど思ひきッて候ぞ。二たび都へ参るまじき由、人々にも申し置いたり。大臣殿へも此のやうを申し上げて候ぞ」といひければ、みな人此の儀にぞ同じける。さればその約束をたがへじとや、当座にありしものども、一人も残らず北国にて皆死にけるこそむざんなれ。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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〈現代語訳〉


先年の石橋山の合戦の時に、頼朝を、討とうとした者たちが都へ逃げ上って、平家にお仕えもうしあげていた。俣野五郎景久(またののごうろうかげひさ)・長井斎藤別当実盛(ながいのさいとうべっとうさねもり)・伊東九郎祐氏(いとうのくろうすけうじ)・浮巣三郎重親(うきすのさぶろうしげちか)・真下四郎重直(ましものしろうしげなお)、彼らはしばらくいくさがある時まで休もうと、日々、寄り集まって、交代で主人役となって酒を酌み交わして心を慰めていた。まず、斎藤実盛のもとに寄り集まった時に「源氏側は強く、平家側は敗色が濃厚に見えなさることだ。さあ、皆それぞれで、木曽殿の方に参ろう。」と申したところ、みな「そうだなあ」と同意した。


次の日に、また浮巣三郎のもとに寄り集まった時、斎藤が「それにしても、昨日申し上げた事はどうか、皆々」といった。その中で俣野五郎が進み出て申したことには「我々はそうはいっても東国で、皆に知られて名のある者である。形勢の良い方に従ってあちらに参り、こちらに参ることも見苦しいだろう。他人のことは知り申しあげないが、私、俣野五郎景久は、平家側としてどうにでもなろう。」と申したので、実盛が高らかに笑っていった。「実は、皆の心をおためし申し上げようと思って申したのだ。そして私実盛自身は今度の戦いで討ち死にしようと覚悟しておりますぞ。二度と再び、都へ参るつもりはないとの旨を、人々にも申しおいてある。宗盛様にもこのように申し上げておりますぞ。」と言ったところ、その場の皆がこの実盛の言うことに心を同じくした。そうであるので、その約束を違えまいということか、その場にいたものたちは、一人も残らず、北国の戦いで皆死んだのは痛ましいことだった。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする