「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
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2012年06月14日

10分でわかる「平家物語」巻七「返牒」(比叡山は木曽義仲に味方することを決める)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)



披閲のところに数日の鬱念一時に解散す。凡平家の悪逆累年に及ンで、朝廷の騒動やむ時なし。事人口にあり、委悉するにあたはず。夫叡岳にいたッては、帝都東北の仁祠として、国家静謐の精祈をいたす。しかるを一天久しく彼夭逆にをかされて、四海鎮に其安全をえず。顕密の法輪なきが如く、擁護の神威しばしばすたる。


爰に貴下適累代武備の家に生れて、幸に当時精撰の仁たり。予め奇謀をめぐらして忽に義兵をおこす。万死の命を忘れて一戦の功をたつ。其労いまだ両年をすぎざるに其名既に四海にながる。我山の衆徒、かつがつ以て承悦す。国家のため、累家のため、武功を感じ、武略を感ず。かくのごとくならば則ち山上の精祈むなしからざる事を悦び、海内の恵護おこたりなき事を知んぬ。自寺他寺、常住の仏法、本社末社、祭奠の神明、定て教法の二たびさかえん事を悦び、崇敬のふるきに服せん事を隨喜し給ふらむ。衆徒等が心中、只賢察をたれよ。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

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【アイテム紹介】「平家物語」では延暦寺などの寺社勢力が、朝廷そして平家を大変に苦しめていますが、この本からは、この時代においていかに寺社勢力がいかに強大かつ重要な存在であったかについて学ぶことができます。この「寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)」は、学校では教わることのない「歴史の深層」に迫ることのできる本です。「平家物語」の正しい理解のためにも必読の一冊だと思います。



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寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)


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〈現代語訳〉


拝見したところ、日頃の晴れない想いが一騎に消えた。だいたい平家の悪行は積年のものになって、朝廷の騒ぎは止まるときがない。この事は日人々の話題になっていて、詳しく述べることはできません。そもそも比叡山延暦寺は、京の東北の寺院として、国家を守るための精魂こめた祈祷をいたしてきました。それなのに、天下は長い事、平家の悪行に犯されて、国のいたるところが、静かに安泰ではいられない。顕教も密教も同じく仏教はないようなもので、守りの神の威力もしばしば失われています。


ここにあなた義仲様は、たまたま先祖代々の武勇の家に生まれて、幸いなことに現代において抜きん出てすぐれた方です。まえもって奇策をめぐらして、すぐに義兵をあげ、危険の中に命を投げ出して戦いにおいて功績を立てる。その努力はまだ挙兵から2年も経たないのに、我が比叡山の衆徒は、とりあえずこのことを承って喜んでいます。国家のため、代々の源氏のため、武功・武略に感動しています。このようであるからには、我々の山の中で祈りが無駄ではなかった事を喜び、我々の国家鎮護の役割に怠りがなかった事を知りました。わが寺や他の寺に安置されている仏も、日吉(ひえ)神社や他の神社に祀られている神々も、きっとその教えがまた再び栄えることを喜んで、神仏を崇める心が昔のようにもどることを喜びなさっているだろう。われわれ比叡山の者たちの心中をお察しください。


posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする