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2012年08月02日

10分でわかる「平家物語」巻七「福原落」(都を離れ、福原で武士達を前に棟梁である平宗盛が語る)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


福原の旧都について、大臣殿、しかるべき侍共、老少数百人召して仰られけるは、「積善の余慶家につき、積悪の余殃身に及ぶ故に、神明にもはなたれ奉り、君にも捨られ参らせて、帝都をいで旅泊にただよふ上は、なんの頼みかあるべきなれども、一樹の陰にやどるも先世の契り浅からず。同じ流れをむすぶも、多生の縁猶ふかし。いかに況んや、汝等は一旦したがひつく門客にあらず、累祖相伝の家人なり。或は近親のよしみ他に異なるもあり、或は重代芳恩是ふかきもあり、家門繁昌の古は恩波によッて私をかへりみき。今なんぞ芳恩をむくひざらんや。且は十善帝王、三種の神器を帯してわたらせ給へば、いかならむ野の末、山の奥までも、行幸の御供仕らんとは思はずや」と仰られければ、


老少みな涙を流いて申しけるは、「あやしの鳥けだものも、恩を報じ、徳をむくふ心は候ふなり。申し候はんや、人倫の身として、いかがそのことはりを存知仕らでは候ふべき。廿余年の間妻子をはぐくみ所従をかへりみる事、しかしながら君の御恩ならずといふ事なし。就中に、弓箭馬上に携るならひ、ふた心あるをもッて恥とす。然れば則ち日本の外、新羅・百済・高麗・荊旦、雲のはて、海のはてまでも、行幸の御供仕ッて、いかにもなり候はん」と、異口同音に申しければ、人々皆たのもしげにぞ見えられける。


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〈現代語訳〉


福原のかつての都に到着して、平宗盛殿が、それに相応しい武士たちや、老いた者、若い者、数百人をお呼びになっておっしゃられたのは、「善行を積んだ家には良いことがあり、悪事を重ねた報いは身におよぶので、我ら平家が神に見放され、法皇にも捨てられ申し上げて、都を出て、旅路に漂う以上、何の頼りもあるはずないが、一つの木の蔭の下に身を寄せるのも前世からの因縁が浅くないからで、同じ川の水を汲んで飲むのも、前世の縁が深いからだ。まして言うまでもなく、お前達はごく一時だけ付き従った新参者の家来ではない。先祖代々仕えてきた平家の家来である。あるものは親族として縁があり他のものとは異なっており、また代々恩義を重ねて縁の深いものもいる。平家一門の繁栄した昔には平家から恩を受けて各々の暮らしを立ててきた。今どうしてその平家への恩に報いないだろうか。今こそ恩に報いる時だ。一方で帝は三種の神器を持っていらっしゃったので、どのような野の果て、山奥までも、帝のお出ましのお供をいたそうと思わないか。いや思って当然だ。」とおっしゃられたので、


老いも若きも皆、涙を流して申したことには「いやしい鳥や獣も、恩に報い、恩恵に報いる心がございますそうだ。まして人間の身として、どうしてそのような道理をしらないでいるべきでしょうか。二十年余り、妻子を育み、家来達を世話してきた事、すべて主君のご恩でないことはない。とりわけ、武士の習いとして、ふた心あることを恥であるとする。そうであるので、日本以外の、新羅(しんら)・百済(ひゃくせい)・高麗(こうらい)・荊旦(けいたん)、雲の果て、海の果てまで、帝のお出ましのお供申し上げて、どのようにでもなりましょう。」と異口同音に申し上げたので、平家の人々は皆、頼りがいがあるように感じられた。



posted by manabiyah at 00:00| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする