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2014年01月31日

10分でわかる「平家物語」巻十一「文之沙汰」(頼朝と義経の間に新たな火種がくすぶり始める)



↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


「当腹の姫君の十八になり給ふを」と申されけれども、大納言それをば猶かなしき事におぼして、さきの腹の姫君の廿三になり給ふをぞ、判官には見せられける。是も年こそ少しおとなしうおはしけれども、みめかたちうつくしう、心ざま優におはしければ、判官さりがたう思ひ奉ッて、もとの上、河越太郎重頼がむすめもありしかども、是をば別の方、尋常にしつらうてもてなしけり。さて女房件のふみの事をのたまひ出されたりければ、判官あまッさへ封をもとかず、いそぎ時忠卿のもとへ送られけり。大納言なのめならず悦ンで、やがて焼きぞすてられける。いかなる文どもにてかありけん、おぼつかなうぞきこえし。


平家ほろびて、いつしか国々しづまり、人のかよふも煩なし。都もおだしかりければ、「ただ九郎判官ほどの人はなし。鎌倉の源二位は何事をかしいだしたる。世は一向判官のままにてあらばや」なンどいふ事を、源二位漏れ聞いて、「こはいかに、頼朝がよくはからひてつはものをさしのぼすればこそ、平家はたやすうほろびたれ。九郎ばかりしてはいかでか世をしづむべき。人のかくいふにおごッていつしか世を我ままにしたるにこそ。人こそ多けれ、平大納言の聟になッて、大納言もてあつかうなるもうけられず。又世にもはばからず、大納言の聟どりいはれなし。くだッても定めて過分のふるまひせんずらん」とぞのたまひける。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


中将は「現在の妻の産んだ姫君で十八歳になりなさる姫君を」と申されたが、時忠はそれをやはりいとおしい事だとお思いになって、前の妻の産んだ姫君で二十三歳になりなさる姫君を、義経にめあわせなさった。この姫君も年齢は少し上でいらっしゃったが、容姿は可愛らしく、気立てもやさしくいらしゃったので、義経は離れ難く思い申し上げて、もともとの妻として河越の太郎重頼があったのだが、この時忠の娘を、別の所に立派に住居などしつらえて、寵愛した。そして時忠の娘が例の文書のことを言い出しなさったところ、義経は封さえ解くことなく、すぐに時忠卿のもとへその文書を送った。時忠はなみなみでなく喜んで、すぐにその文書を焼き捨てなさった。どのような文書であったのだろうか、気がかりだと噂になった。


平家が滅んで、すぐに国々は治まって、人の行き来に差し障りもない。都も平穏であったので、「とにかく義経様ほどの人はいない。鎌倉の頼朝殿が何をしたというのか。世はひたすら義経様の思うままであるのが望ましい。」などと言うことを、頼朝が漏れ聞いて、「これはどういうことだ。私頼朝がうまく取りはからって兵たちを派遣したからこそ、平家はたやすく滅びたのだ。九郎だけではどうして世を鎮められようか。人々がこのように言う言葉におごって、早くも世を自分の思うままにしているのだろう。他に人も多いのに、よりによって平家である時忠の婿になって、時忠を優遇するのも許せない。また世にも遠慮せずに時忠が、娘のむこを取るのもけしからん。鎌倉に下ったとしても九郎は身の程知らずのふるまいをするのだろう。」とおっしゃった。

posted by manabiyah at 17:57| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする