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2014年02月28日

10分でわかる「平家物語」巻十一「大臣殿被斬」(平宗盛は許されず斬られてしまうこととなる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)



さる程に、九郎大夫判官やうやうに陳じ申されけれども、景時が讒言によッて鎌倉殿さらに分明の御返事もなし。「いそぎのぼらるべし」と仰せられければ、同じき六月九日、大臣殿父子具し奉ッて都へぞかへりのぼられける。大臣殿はいますこしも日数ののぶるをうれしき事に思はれけり。道すがらも「ここにてやここにてや」とおぼしけれども、国々宿々うちすぎうちすぎとほりぬ。尾張国内海といふ処あり。ここは故左馬頭義朝が誅せられし所なれば、これにてぞ一定と思はれけれども、それをも過ぎしかば、大臣殿すこしたのもしき心いできて、「さては命の生きんずるやらん」とのたまひけるこそはかなけれ。右衛門督は「なじかは命をいくべき。か様にあつきころなれば、頸の損ぜぬ様にはからひて、京ちかうなッてきらんずるにこそ」と思はれけれども、大臣殿のいたく心ぼそげにおぼしたるが心ぐるしさに、さは申されず。ただ念仏をのみぞ申し給ふ。


日数ふれば都もちかづきて、近江国篠原の宿につき給ひぬ。判官なさけふかき人なれば、三日路より人を先だてて、善知識のために、大原の本性房湛豪といふ聖を請じ下されたり。昨日までは親子一所におはしけるを、けさよりひきはなッて、別の所にすゑ奉りければ、「さてはけふを最後にてあるやらん」と、いとど心ぼそうぞ思はれける。


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〈現代語訳〉


その間、九郎大夫判官義経は、さまざまに釈明の言葉を申し上げなさったが、景時の讒言のせいで、頼朝からははっきりとしたお返事もない。「すぐに上京されるがよい。」と頼朝から義経にお命じになったので、同年六月九日に、宗盛親子をお連れ申し上げて義経は都へと帰りのぼられた。宗盛殿は、もう少しでも生きられる日数がのびたことを嬉しいことに思われた。道中も「ここで切られるのか、ここでなのか。」とお思いになったが、様々な国や宿を通り過ぎ、通り過ぎした。尾張の国に内海という場所がある。ここは亡くなった左馬頭義朝が討たれた場所なので、「ここできっと斬られるのだ。」と宗盛殿は思われたが、その内海も過ぎたので、宗盛殿には少し期待の心が生じてきて、「それでは私の命は、生きながらえることが、できるのだろうか。」とおっしゃたのは空しいことだ。右衛門督平清宗は「どうして生きのびさせるだろうか。それはありえない。このように暑い季節なので、首が痛まないようにとはからって、都が近くなってから斬るのであろう。」とお思いになったが、宗盛殿がひどく心細そうにお思いになっているのが心苦しいので、それは申されなかった。ただ念仏だけを唱え申し上げなさる。


義経判官は情け深い人であったので、三日ほど前の地点から予め人を先にいかせて、導きの師として大原の本性房湛豪という僧侶を呼びくだしていた。昨日までは親子でいっしょにいらっしゃったのだが、今朝からは別々に引き離して、別々の場所におき申し上げたので、「それでは今日が最期の日であるのだろうか。」と、ますます宗盛殿は心ぼそく思われた。


posted by manabiyah at 06:56| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする