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2014年03月07日

10分でわかる「平家物語」巻十一「大臣殿被斬」その2(平宗盛・清宗親子が斬られる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)

大臣殿しかるべき善知識かなとおぼしめし、忽に妄念翻へして、西にむかひ手をあはせ、高声に念仏し給ふところに、橘右馬允公長、太刀を引きそばめて、左のかたより御うしろに立ちまはり、すでにきりたてまつらんとしければ、大臣殿念仏をとどめて、「右衛門督もすでにか」とのたまひけるこそあはれなれ。公長うしろへよるかと見えしかば、頸はまへにぞ落ちにける。善知識の聖も涙に咽び給ひけり。たけきもののふもいかでかあはれと思はざるべき。ましてかの公長は、平家重代の家人、新中納言のもとに朝夕祗候の侍なり。「さこそ世をへつらうといひながら、無下になさけなかりける物かな」とぞみな人慚愧しける。


其後右衛門督をも、聖前のごとくに戒たもたせた奉り、念仏すすめ申す。「大臣殿の最後いかがおはしましつる」と問はれけるこそいとをしけれ。「目出たうましまし候ひつるなり。御心やすうおぼしめされ候へ」と申されければ、涙をながし悦びて、「今は思ふ事なし。さらばとう」とぞのたまひける。今度は堀弥太郎きッてンげり。頸をば判官もたせて都へいる。むくろをば公長が沙汰として、親子一つ穴にぞうづみける。さしも罪ふかくはなれがたくのたまひければ、かやうにしてんげり。

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〈現代語訳〉


宗盛殿は湛豪(たんごう)をそれに相応しい仏道の師であるとお思いになって、すぐに妄念をくつがえして極楽のある西へむかって手を合わせて、声をあげて念仏を唱えなさるところに、橘右馬允公長(きつうまのじょうきんなが)が太刀を引きつけて横に構えて、左側から宗盛の後方に回って立って、まさに斬り申し上げようとしたところ、宗盛殿は念仏をとめて「右衛門督清宗もすでに斬られたのか」とおっしゃったのは本当に悲しいことだ。公長が後ろに近寄ると見えたところ、首は前にと落ちてしまった。導きの師である湛豪も涙にむせびなさった。猛々しい武士たちもどうして悲しいと思わないだろうか、いや悲しく思う。それにもまして宗盛を斬った公長は平家代々の家人で、新中納言知盛に朝夕お仕えもうしあげた侍である。「いくら世にへつらうのが常だと言っても、ひどく情けないことだなあ。」と人々はみな公長の行為を恥ずべきものだと感じた。


その後、清宗に対しても、湛豪は宗盛と同じように、戒律を与え申し上げて、念仏をすすめ申した。父宗盛殿の最期はどのようでいらしゃったのか。」と問われなさったのはいじらしいことだ。「立派でいらっしゃいました。ご安心なさってください。」と湛豪が申したところ、「今は思い残すことはない。それならば早く。」とおっしゃった。今回は堀弥太郎が斬ったのであったよ。宗盛親子の首を持たせて義経は都に入った。胴体の方は公長の判断で、親子ともに一つの穴に埋めた。あれほど宗盛が罪深いほどに、我が子とはなれがたいとおしゃっていたので、このようにしたのであった。


posted by manabiyah at 08:28| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする