「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2014年04月04日

10分でわかる「平家物語」巻十二「平大納言被流」(平時忠が能登の国へと流罪になる)




↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


法皇も故女院の御せうとなれば、御形見に御覧ぜまほしうおぼしめしけれども、か様の悪行によッて御憤あさからず。九郎判官もしたしうなられたりしかば、いかにもして申しなだめばやと思はれけれどもかなはず。子息侍従時家とて、十六になられけるが、流罪にももれて、伯父の時光卿のもとにおはしけり。母うへ帥のすけ殿共に大納言の袂にすがり、袖をひかへて、今を限りの名残をぞ惜しみける。大納言、「つひにすまじき別れかは」とこころづよふはのたまへども、さこそは悲しう思はれけめ。年闌け齢傾て後、さしもむつましかりし妻子にも別れはて、すみなれし都をも雲ゐのよそにかへりみて、いにしへは名にのみ聞きし越路の旅におもむき、はるばると下り給ふに、「かれは志賀、唐崎、これは真野の入江、交田の浦」と申しければ、大納言泣く泣く詠じ給ひけり。


 かへりこむことはかた田にひくあみのめにもたまらぬわがなみだかな


昨日は西海の波の上にただよひて、怨憎会苦の恨みを扁舟の内につみ、けふは北国の雪のしたに埋れて、愛別離苦のかなしみを故郷の雲にかさねたり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」

------------------------------------------------------------------------------------
【アイテム紹介】当サイトは「オーディオ」ファイルによる「平家物語」の解説を行っていますが、是非とも併用して頂きたい本がこちらの「平家物語図典」です。当時の武具、衣食住の図や、物語の舞台となった名所旧跡の写真などなど「ビジュアル的」に平家物語を理解するには、最強の本です。じっくり読み込んでも良し。ただ眺めているだけでもとても楽しい本です!
書名or表紙画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
平家物語図典


IMG_8177.JPG


IMG_8179.JPG


------------------------------------------------------------------------------------

〈現代語訳〉


後白河法皇にとってもこの時忠は亡くなった建春門院滋子の兄にあたる人なのでその形見としてお会いになりたく思いなさったが、このような時忠の悪行によって、お怒りは浅くなかった。九郎判官義経も、時忠と縁戚にあったので、義経も「どうにかして減刑を願い申しあげたい」と思われたがどうにもならない。時忠の子息で侍従時家といって十六歳になるものは、流罪から漏れて、伯父である時光のもとにいらっしゃった。母である、そつのすけ殿も、ともに、時忠のたもとにすがりついて、袖をおさえて、これっきりの別れの名残を惜しんだ。時忠は「最終的に、しなくてもよい別れだろうか、いや別れざるを得ない」と心強く思われたが、さぞかし悲しく思われただろう。年をとって年齢も高齢になった後に、そんなにも仲睦まじかった妻子とも別れて、住み慣れた都も雲のはての遠くのように顧みて、昔は名前だけで聞いた越路の旅に赴いて、はるばると下りなさったところ、「あれは志賀、唐崎、これは真野の入江、交田の浦」と申したので、時忠は泣く泣くお詠みになった。

「帰ってくることは この「かた田」ではないが かたし(難しい) 引く網の目に水が溜まらないように 私の目にもとどまらない涙だなあ」

昨日は西の海の波の上にただよって、怨憎会苦の恨みを小さい舟の中に積んだ。今日は北国の雪の下にうもれて、愛別離苦の悲しさを故郷の雲に重ねた。

posted by manabiyah at 09:15| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする