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2014年04月12日

10分でわかる「平家物語」巻十二「土佐房被斬」(義経を討つために鎌倉から刺客として土佐房昌俊が遣わされる)



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判官は磯禅師といふ白拍子のむすめ、静といふ女を最愛せられけり。静もかたはらを立ちさる事なし。静申しけるは、「大路は皆武者でさぶらふなる。是より催しのなからんに、大番衆の者どもこれほど騒ぐべき様やさぶらふ。あはれ是はひるの起請法師のしわざとおぼえ候。人をつかはして見せさぶらはばや」とて、六波羅の故入道相国の召しつかはれけるかぶろを三四人つかはれけるを、二人つかはしたりけるが、程ふるまで帰らず。「中々女はくるしからじ」とて、はしたものを一人見せにつかはす。


程なくはしり帰ッて申しけるは、「かぶろとおぼしきものはふたりながら、土佐房の門にきりふせられてさぶらふ。宿所には鞍置き馬どもひしとひッたてて、大幕のうちには、矢負ひ弓張り、者ども皆具足して、唯今よせんといで立ちさぶらふ。すこしも物詣でのけしきとは見えさぶらはず」と申しければ、判官是を聞いて、やがてうッたち給ふ。静、着背長とッてなげかけ奉る。高紐ばかりして、太刀とッて出で給へば、中門の前に馬に鞍おいてひッたてたり。是にうち乗ッて、「門をあけよ」とて門あけさせ、いまやいまやと待給ふ処に、しばしあッて、ひた甲四五十騎門の前におしよせて、時をどッとぞつくりける。判官鐙ふンばり立上がり、大音声をあげて、「夜討にも昼戦にも、義経たやすう討つべきものは、日本国におぼえぬものを」とて、只一騎をめいてかけ給へば、五十騎ばかりのもの共、中をあけてぞ通しける。

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〈現代語訳〉


判官義経は磯の禅師という白拍子のむすめである静かという女を最も愛しなさった。静も義経のそばを立ち去ることがなかった。静が義経に申したことには「大路はみな武者で溢れているそうです。こちらから出動の命令もないのに、警護の武士達がこれほど集まり騒ぐことがありましょうか。ああこれは昼の起請文を書いた法師の仕業と思われます。人をつかわして確かめさせましょう。」と、かつて清盛入道が召し使っていたかぶろを、三、四人お使いになっていたのだが、その二人を遣わしたところ、しばらくたっても帰らない。かえって女ならばさしつかえないだろうと、下女をひとり確かめに遣わした。


間もなく走り帰って申したことには、「かぶろを思われる者は二人とも、土佐房昌俊の宿所の門の前で切り伏せられております。宿所では鞍を置いた馬を引きたてて陣幕の中では、矢を背負って、弓を張って、武士達が皆武装して、たった今にも攻め寄せようといでたっております。全く物詣での様子には見えません。」と申したので、義経はこれを聞いて、すぐに出でたちなさった。静は着背長をとって義経に急いで着せ申し上げた。高紐を結び胴の部分だけの簡略な装備で、太刀をとって出なさると、中門の前の馬に鞍をおいて引き立てていた。義経はこれに乗って、「門を開けろ」といって門を開けさせて、土佐房昌俊の来襲を今か今かとお待ちになっているところに、しばらくあってから、完全に武装した敵が四、五十騎が門の前におしよせてきて、戦いのときの声をどっとあげた。義経はあぶみに足をふんばって立ち上がり、大声をあげて、「夜討ちであろうが、昼の戦いであろうが、私義経を討ちことのできるものは、この日本国には思いつかないのに。」と言って、ただ一騎で大声をあげてかけなさるので、五十騎ほどの武者たちは、間をあけて義経を通した。



posted by manabiyah at 10:46| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする