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2014年04月18日

10分でわかる「平家物語」巻十二「土佐房被斬」その2(頼朝からの刺客土佐房昌俊が斬られる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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さる程に、伊勢三郎義盛・奥州佐藤四郎兵衛忠信・江田源三・熊井太郎・武蔵房弁慶なンどいふ一人当千の兵共、やがて続いて攻め戦ふ。其後侍共「御内に夜討いッたり」とて、あそこのやかたここの宿所より馳せ来たる。程なく六七十騎集りければ、土佐房たけくよせたりけれども戦ふに及ばず。散々にかけ散らされて、たすかるものはすくなう、うたるるものぞ多かりける。


昌俊希有にしてそこをば逃れて、鞍馬の奥ににげ籠りたりけるが、鞍馬は判官の故山なりければ、彼の法師土佐房をからめて、次の日判官の許へ送りけり。僧正が谷といふ所に隠れゐたりけるとかや。昌俊を大庭にひッすゑたり。かちの直垂に首丁頭巾をぞしたりける。判官わらッてのたまひけるは、「いかに和僧、起請にはうてたるぞ」。土佐房すこしも騒がず、居なほり、あざわらッて申しけるは、「ある事にかいて候へば、うてて候ぞかし」と申す。「主君の命をおもんじて、私の命をかろんず。心ざしの程、尤も神妙なり。和僧命惜しくは鎌倉へ返しつかはさんはいかに」。土佐坊、「まさなうも御諚候ものかな。惜しと申さば殿は助け給はんずるか。鎌倉殿の「法師なれども、おのれぞねらはんずる者」とて仰せかうぶッしより、命をば鎌倉殿に奉りぬ。なじかはとり返し奉るべき。唯御恩にはとくとく頸をめされ候へ」と申しければ、「さらばきれ」とて、六条河原にひきいだいてきッてンげり。ほめぬ人こそなかりけれ。

平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


そのうちに、伊勢の三郎義盛や佐藤忠信、江田の源三、熊井の太郎、武蔵房弁慶などの一人で千人力のつわものが、すぐに続いて攻め戦った。その後侍たちは「義経様の邸に夜討ちが入った」として、あちらの邸、ここの宿所から義経のもとに馳せ参じた。間もなく六、七十騎が集まったので、土佐房は勇敢に攻めよせたが、戦いにならない。散々にかけ散らかされ、助かるものは少なく、討たれるものが多かった。


土佐房昌俊は奇跡的にその場から逃れて、鞍馬の奥へ逃げ籠ったが、鞍馬は義経の故郷の山であったので、鞍馬の法師たちが土佐房をからめとって次の日、義経のもとに送った。土佐房は僧正が谷という所に隠れていたとかいうことだ。土佐房を大庭に引き出して据えた。土佐房は、濃紺の鎧直垂に、紺の布でできた頭巾を身につけていた。義経が笑っておっしゃったことには「どうだ坊主よ。起請文の罰があたったな。」土佐房は少しも騒ぐことなく、座り直してあざわらって申したことには、「無い事をある事として書いたので、罰があたったのです。」と申した。(義経は言った。)「主君の命令を重んじて、自分の命を軽くする。主君想いのその態度は、大変に感心だ。お前が命を惜しく思うなら、鎌倉へ帰そうと思うがどうか。」土佐房は言った。「よくないことを仰せになられますなあ。私が命が惜しいと申したら、あなたはお助けなさるのだろうか。私は頼朝様から『法師であるが、お前こそが義経の命を狙うことのできる者だ』というお言葉を頂いてから、命を頼朝様にさしあげた。どうして取り返し申し上げることができようか、いやできない。ただ私に恩情をかけてくださるなら、早く早く私の首をお斬りください。」と申したので、(義経は)「それならば土佐房を斬れ」と六条河原に土佐房を引きだして斬ってしまった。土佐房昌俊のその潔い態度を褒めない人はいなかった。

posted by manabiyah at 09:05| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする