「平家物語」各場面の原文朗読・現代語訳・解説の音声ファイルを公開しています。
全て無料でダウンロード可能です。
オススメの使い方は→こちらをご参照ください。

2014年05月02日

10分でわかる「平家物語」巻十二「六代」(平家の残党狩りが激化、北条時政が六代を呼び出す)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


中にも小松三位中将殿の若君、六代御前とておはすなり。平家の嫡々なるうへ、年もおとなしうましますなり。いかにもしてとり奉らんとて、手を分けてもとめられけれども、尋ねかねて、既に下らんとせられける処に、ある女房の六波羅に出でて申けるは、「是より西、遍照寺のおく、大覚寺と申す山寺の北のかた、菖蒲谷と申す所にこそ、小松三位中将殿の北方・若君・姫公おはしませ」と申せば、時政やがて人をつけて、其のあたりを伺はせける程に、ある坊に、女房達、をさなき人あまた、ゆゆしく忍びたるていにてすまひけり。


籬のひまよりのぞきければ、白いゑのこの走り出でたるをとらんとて、うつくしげなる若君の出で給へば、めのとの女房とおぼしくて、「あなあさまし。人もこそ見参らすれ」とて、いそぎ引き入れ奉る。是ぞ一定そにておはしますらんと思ひ、いそぎ走り帰ッてかくと申せば、次の日かしこにうちむかひ、四方を打ちかこみ、人をいれていはせけるは、「平家小松三位中将殿の若君六代御前、是におはしますと承ッはて、鎌倉殿の御代官に北条四郎時政と申すものが御むかへに参ッて候ふ。はやはや出し参らッさせ給へ」と申されければ、母うへ是を聞き給ふに、つやつや物もおぼえ給はず。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
------------------------------------------------------------------------------------
【アイテム紹介】
この本の中で、石母田正氏は「『重盛-維盛-六代』の系統の物語が、平家物語の骨格の全体ではないが、少くともその重要の一部」であるとして、「平氏の運命の予言者としての重盛の言葉が、典型的に実現されてゆく過程として、平家の作者は六代にいたる重盛の子孫をとくに浮彫したのではないか」と指摘しています。岩波新書青版「平家物語」は平家物語成立の過程に対しての考察など、「平家物語」を読み解くためのエッセンスが凝縮された名著です。是非一読を。


タイトルor画像↓をクリックすると詳細が表示されます。
平家物語 (岩波新書)



------------------------------------------------------------------------------------

〈現代語訳〉


平家の血を引く者の中に、小松三位中将の若君である六代御前という方がいらっしゃっるそうだ。平家の嫡流であるが上に、年も年長となっておられるということだった。どのようにしてもとらえ申し上げようと、時政らは手を分けて探し求められたが、見つけ出しかねて、もはや鎌倉へと戻ろうとした時に、ある女房が六波羅に出頭して申したことには「ここから西、遍照寺の奥の、大覚寺という申し上げる山寺の北の方の菖蒲谷と申す場所に、平維盛殿の奥方と若君姫君がいらっしゃる。」と申したので、時政がすぐに人を送って、その辺りの様子をうかがわせた時に、ある僧坊に女房達と幼い子が多く、大変に忍んだ様子で住んでいた。


垣根の隙き間から覗いてみたところ、白い子犬が走り出たのを捕えようとして、かわいらしい若君が出て来なさったので、乳母である女房と思われるものが「ああ、あきれたことよ。人が見申し上げたら大変ですよ。」と急いで引き入れ申し上げた。「これはきっとその六代でおありになるのだろう」と思って、急いで走り帰ってこのように申し上げると、次の日に時政はその場所に行き、四方を取り囲んで、人を中に入れて言わせたことには「平家の小松の三位中将維盛殿の御嫡男である六代御前が、ここにおられるとお聞き申しあげて源頼朝の代官である北条時政と申す者がお迎えに参っております。はやくはやく、お出し申し上げなさってください。」と申されたので母上はこれを聞きなさると、全く物も考えられない状態となりなさった。

posted by manabiyah at 09:04| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする