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2014年05月10日

10分でわかる「平家物語」巻十二「六代」その2(六代が鎌倉方の武士に捕えられ連れ去られていく)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


若君、母うへに申させたまひけるは、「つひにのがるまじう候へば、とくとく出させおはしませ。武士どもうち入ッてさがすものならば、うたてげなる御有様共を見えさせ給ひなんず。たとひまかり出で候ふとも、しばしも候はば、いとまこうてかへり参り候はん。いたくな歎かせ給ひ候ひそ」と、なぐさめ給ふこそいとおしけれ。さてもあるべきならねば、母うへ泣く泣く御ぐしかきなで、もの着せ奉り、既に出し奉らんとしたまひけるが、黒木の数珠の小さううつくしいを取出して、「是にていかにもならんまで、念仏申して極楽へ参れよ」とて奉り給へば、若君是をとッて、「母御前には今日既に離れ参らせなんず。今はいかにもして、父のおはしまさん所へぞ参りたき」とのたまひけるこそ哀れなれ。


是を聞いて、御妹の姫君の十になり給ふが、「われもちち御前の御もとへ参らん」とて、走り出で給ふを、めのとの女房とりとどめ奉る。六代御前ことしはわづかに十二にこそなり給へども、よのつねの十四五よりはおとなしく、見めかたち優におはしければ、敵によわげを見えじと、おさふる袖のひまよりも、余りて涙ぞこぼれける。さて御輿にのり給ふ。武士ども前後左右に打ちかこンで出でにけり。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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【商品紹介】こちらのCDは「平家琵琶」と「薩摩琵琶」それぞれで演奏した「平家物語」の様々な場面を楽しむことができます。館山甲午氏の「祇園精舎」や、今井勉検校の「海道下り(再現曲)」など貴重なトラックが収められています。湯浅半月氏による「弓流し」の録音は「平家琵琶・波多野流」の唯一の録音と言われているものです。

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琵琶~平家物語の世界~



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〈現代語訳〉


六代が母上にむかって申し上げなさったことには、「最終的には逃れることはできないのですから、はやくはやく私をお出しになってください。鎌倉方の武士達がここに入ってきて私を探すようなことになったら、みっともないご様子を見せなさることになるでしょう。たとえ私がここから参り出ますとしても、しばらくしましたら、暇を頂いて帰り参ります。そんなにお嘆きになってはいけません。」と慰めなさるのは不憫なことだ。そのままでいるわけにもいかないので、母は泣く泣く六代の髪をかきなでて、ものを着せ申し上げて、今にも外へ出し申し上げようとしなさった時に、母は黒木の数珠で小さく可愛らしい数珠を取り出して「これで、どうかするような時には、念仏を申しあげて極楽へ参ってください」といって差し上げなさると、若君はこの数珠を受け取って、「母御前とは今日まさにお別れ申しあげようとしている。今はどうにかして、父のいらっしゃるところへと参りたい。」とおっしゃったことはしみじみ悲しいことだ。


これを聞いて、妹である姫君で十になりなさる姫が「私も父上のもとへ参ろう。」と言って走りでなさるのを、乳母である女房がひきとどめ申し上げる。六代御前は今年はまだ十二歳になりなさっていたに過ぎなかったが、世間の普通の十四歳十五歳よりは、大人びていて、見た目も優雅でいらっしゃったので、敵に弱みを見せまいとして、おさえる袖の隙き間から、溢れ出る涙がこぼれた。そして鎌倉方の御輿へと乗りなさった。武士達が前後左右を取り囲んで出て行った。

posted by manabiyah at 13:02| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする