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2014年06月01日

10分でわかる「平家物語」巻十二「六代被斬」(成長した六代への頼朝の警戒心が強まる)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
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繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


さる程に、六代御前はやうやう十四五にもなり給へば、みめかたちいよいようつくしく、あたりもてりかかやくばかりなり。母うへ是を御覧じて、「あはれ世の世にてあらましかば、当時は近衛司にてあらんずるものを」とのたまひけるこそあまりの事なれ。鎌倉殿常はおぼつかなげにおぼして、高雄の聖のもとへ便宜ごとに、「さても維盛卿の子息は何と候ふやらむ。昔頼朝を相し給ひしやうに、朝の怨敵をもほろぼし、会稽の恥をも雪むべき仁にて候ふか」と尋ね申されければ、聖の御返事には、「是は底もなき不覚仁にて候ふぞ。御心やすうおぼしめし候へ」と申されけれども、鎌倉殿猶も御心ゆかずげにて、「謀反おこさばやがて方人せうずる聖の御房なり。但し頼朝一期の程は誰か傾くべき。子孫のすゑぞ知らぬ」とのたまひけるこそおそろしけれ。


母うへ是をききたまひて、「いかにも叶ふまじ。はやはや出家し給へ」と仰せければ、六代御前十六と申しし文治五年の春の比、うつくしげなる髪を肩のまはりにはさみおろし、柿の衣、袴に笈なンどこしらへ、聖にいとまこうて修行にいでられけり。斎藤五・斎藤六もおなじさまに出で立ちて、御供申しけり。

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「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


そうしているうちに、六代御前は次第に成長して十四、五歳になりなさったので、容姿もますます素晴らしく、周囲も照り輝くほどである。母君はこの様子をご覧になって「ああ世が世であったなら、今頃近衛の司になっていただろうに」と、おっしゃったことはあまりに度が過ぎたことだ。頼朝殿は、いつもこの六代のことを気がかりにお思いになって、高雄の文覚のもとに便りを送るたびごとに「それにしても維盛卿の息子はどんな人物でございましょうか。昔、あなたが私頼朝の人相を占いなさったように、朝廷の敵になる者を滅ぼして、会稽の恥をそそぐことのできる人物でございますか。」と文覚にお尋ねになったので、文覚のお返事には「この六代は底抜けの臆病者でございますぞ。ご安心なさってくだされ。」と申されたが、頼朝殿は依然として満足されない様子で「六代が謀反を起こしたならすぐに味方をしそうな文覚である。ただし私頼朝の生きているうちは誰も天下を傾けることはできない。子孫の末のことは知らないが。」と、おっしゃったことは恐ろしい。


母君はこのことをお聞きになって「どうにも我々の思うようにはなるまい。はやくはやく出家しなされ。」とおっしゃったので、六代御前は十六歳と申し上げた文治五年春のころに、素晴らしく美しい髪を肩のあたりで切り落として、柿の渋で染めた衣と袴と、笈を準備して、文覚にひまをもらって修行に出ていかれた。斎藤五と斎藤六も同じ姿となってお供申し上げた。

posted by manabiyah at 22:14| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする