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2014年07月18日

10分でわかる「平家物語」灌頂巻「六道之沙汰」その2(建礼門院徳子が見た餓鬼道と修羅道の苦しみ)


↑「平家物語」原文の朗読・現代語訳・解説の音声ファイルです。
再生ボタンをクリックして聴くことができます。(各回10分程度)
右端のDLボタンからダウンロードしてiPodなどに入れて、
繰り返し聴くこともできます。(ページ下に全訳あり。)


さても筑前国太宰府といふ所にて、維義とかやに九国のうちをも追ひ出され、山野広しといへども、立ち寄りやすむべき所もなし。同じ秋の末にもなりしかば、むかしは九重の雲の上にて見し月を、いまは八重の塩路にながめつつ、あかし暮しさぶらひし程に、神無月の比ほひ、清経の中将が、「都のうちをば源氏がためにせめおとされ、鎮西をば維義がために追ひ出さる。網にかかれる魚の如し。いづくへゆかばのがるべきかは。ながらへはつべき身にもあらず」とて、海にしづみさぶらひしぞ、心うき事のはじめにてさぶらひし。浪の上にて日をくらし、船の内にて夜をあかし、みつぎものもなかりしかば、供御を備ふる人もなし。たまたま供御はそなへんとすれども、水なければ参らず。大海にうかぶといへども、潮なればのむ事もなし。是又餓鬼道の苦とこそおぼえさぶらひしか。


かくて室山・水島、所々のたたかひに勝ちしかば、人々すこし色なほッて見えさぶらひし程に、一の谷といふ所にて一門おほくほろびし後は、直衣束帯をひきかへて、くろがねをのべて身にまとひ、明けても暮れてもいくさよばひの声たえざりし事、修羅の闘諍、帝釈の諍も、かくやとこそおぼえさぶらひしか。


平家物語連続講義のこれまでの内容を物語の展開順にまとめました。
「平家物語連続講義放送リスト」
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〈現代語訳〉


「そしてその後も、筑前の国の太宰府というところで、緒方の維義とかいう者に九州の中から追い出されて、山も野も広いというのに、私たちが立ち寄って休むことのできる場所はなかった。同じ年の秋の末になったので、昔は宮中の御殿で見た月を、今は遥かに遠い海路で眺めながら、日々を過ごしておりました時に、十月の頃、清経の中将が、都の中を源氏によって攻め落とされて、九州を緒方維義によって追い出される。我らは網にかかった魚のようだ。どこへいけば逃れられるか。いや逃れられない。生きながらえることのできる身ではない、といって海に沈みましたことは、つらく悲しいことのはじめでございました。波の上で昼を過ごし、船の中で夜を明かしたが、貢ぎ物もなかったので、食事を支度する者もいない。たまに食事を支度しようとすることはあっても、水がないので食べることができない。大海原に浮かんでいて水はあるようだが、塩水なので飲むこともできない。これもまた餓鬼道の苦しみと思いました。」

「こうして室山や水島など様々なところでの戦いに勝ったので、平家一門の人々は少し元気がもどって見えました時に、一の谷という場所で一門の多くが亡くなった後は、直衣や束帯からうって変わって、鉄をのばした鎧を身につけて、明けても暮れても戦いの閧の声が絶えなかったことは、阿修羅の戦い、帝釈天との争いも、このようであったのかと思いました。」


posted by manabiyah at 13:40| 平家物語過去分 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする